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私たちの生活やビジネス、あるいは業務のあり方を大きく変えようとしている生成AI。今後、生成 AI は、私たちの「相棒的な存在」や「日常生活の必需品」になる可能性を秘めています。
「教えて!あなたの生成 AI 活用術」シリーズは、生成AIを業務やプライベートで利用している日立の従業員が、創造力と技術力を生かし、おすすめの活用方法やアイデア、今後の可能性について、具体的なユースケースやエピソードとともに紹介する連載企画です。

今回は、日立コンサルティングの水谷世希さんの活用術を紹介します。数々の新事業に携わってきたノウハウを生かして、イノベーション創出に挑戦し続けている水谷さん。「自分で一切手を加えずに事業計画書を生成 AI に作らせる」という、コンサルタントらしい活用術を教えていただきました。生成AIをまだ使ったことがない人にこそ読んで欲しい、スペシャルなコラムになりました。
(本記事は、2023/11/1に寄稿された内容です)

画像: 【生成AIを使っていない人・必読!】生成AIでこんなことまでできるの!?コンサルタントの活用術

水谷 世希(Seiki Mizutani)

株式会社 日立コンサルティング
イノベーション&ストラテジーディビジョン テクニカルディレクター
公益財団法人 日本生産性本部 
経営アカデミー イノベーションデザイン研究会コーディネーター

<Profile>
日立製作所入社後、日立総合研究所、日立コンサルティングに転籍。KSPベンチャービジネススクールで最優秀賞を受賞。長年にわたり新事業創出に携わっている。業界にイノベーションを起こすような新しいアイデアを生み出すことをめざして、日立で取り組んできた新事業創出の経験を方法論にして、お客さま企業と一緒にワークショップを行っている。

生成AIを使い始めたきっかけと時期、また利用頻度はどのくらいですか?

正直に話すと、我が家では商社で働いている娘の方がChatGPTを先に使っていました。3月ごろに「お父さんChatGPTを使ってる?」と娘に聞かれた時には、その存在は知っていたのですが、まだちゃんと使ったことがありませんでした。娘に先を越されてちょっと癪だったので(笑)、それからはいろいろと試して毎日使うようになりました。
最初は検索サイトのように使ってしまっていましたが、見よう見まねでいろいろと試しているうちに、単なる検索に使うのではなく何かを創り出すために使えることがわかってきました。まさに「生成」AIですね。

小説を書いてみたり、アイデアを出させてみたり、ディスカッションを行ってみたり。
その一つがこちらです。スティーブ・ジョブズとイーロン・マスクとジェームズ・ダイソンという三大イノベーターにイノベーションについてディスカッションをしてもらうというものです。それぞれの過去の発言に基づいて文章が生成されるので、内容にも三人のカラーが表れています。
さらには「フードロスの削減」をテーマにそれぞれにアイデアを出してもらい、最後は三人で力を合わせると何ができるかというアイデアも出してもらいました。

画像: 三大イノベーターが仮想のディスカッションを展開

三大イノベーターが仮想のディスカッションを展開

生成AIをどのような用途で活用していますか?

コンサルティング業務にどのように役立てることができるか試すために、色んな形で使っています。そのうちの一つが「新事業の事業計画書を作成する」というものです。
最初は自分で新しいアイデアを考えたり、市場の調査をするためのアシスタントとしてChatGPTを使っていました。そのため、こちらで考えて、それをChatGPTに調べてもらうように活用していました。
最近はむしろ自分は何も考えずにChatGPTに考えてもらうようにしています。それが「フリップ・インタラクション・パターン・プロンプト(逆質問型)」というやり方です。ChatGPTに役割を与えて、こちらからはリクエストをして、ChatGPTから逆に質問をしてもらうというものです。

例えば、「あなたは経営者コンサルタントとして私に質問して下さい。私はこれから新事業計画を策定しようと思います。何から始めればいいですか?」とリクエストを出します。
するとChatGPTは、
「まず最初に、この新事業計画で達成したい具体的なビジョンや目標は何ですか?」
「次に、その「xxx」をめざす新事業計画の具体的なコンセプトや方法について教えていただけますか?どのようなアプローチやサービス、製品などを考えていますか?」
「これらのアイディアを基に、具体的な事業モデルやプランを考えていくことができると思います。どれか特に気に入ったアイディアや、さらに詳しく探求したいテーマはありますか?」
と次々に質問を繰り返してきてくれます。場合によってはいくつかの選択肢も用意してくれます。
これに答えていくと事業計画書を作成することができるというわけです。

画像: フリップ・インタラクション・パターン・プロンプト(逆質問型)を活用した新事業計画書づくりの例

フリップ・インタラクション・パターン・プロンプト(逆質問型)を活用した新事業計画書づくりの例

画像: 事業計画書の表紙も画像生成AIで作成

事業計画書の表紙も画像生成AIで作成

さらに、Adobeの生成AI「Firefly」などの画像生成AIを用いると、写真やイラストを作成することもできます。

このように、試しに作った事業計画書も私は一文字も書かずに、質問に答えてパワポにコピペをするだけで作成することができました

生成AI を活用するメリットをどのように感じていますか?

とにかく「圧倒的に早い」ということがポイントだと思います。
例えばこれまでのワークショップでは丸一日缶詰めになってディスカッションを繰り返し、ようやくまとまったものを来週までに調査してくるというようなやり方が多かったと思います。

画像: コンサル現場での生成AI 導入トライアル例

コンサル現場での生成AI 導入トライアル例

現在トライアルを行っているやり方は、お客さまと一緒にディスカッションしている横でコンサルタントがChatGPTを活用してさまざまなサポートを行うというやり方です。
このやり方だと、お客さまの考えやアイデアを引き出しながら1時間もあれば事業計画のたたき台を作成することができます。

ここで大切なのは、事業計画書の完成度を上げることが目的ではないということです。
まずは仮説としての事業計画を素早く作り、それを元に現場に行って観察をしたり、お客さまの声を聴いたり、探索活動の行動につなげることに時間を掛けるということです。しかもそれをとにかく素早く行い、その経験を元に仮説をブラシュアップするということです。

このスピードを圧倒的に早めることができるのが生成AI を活用する最大のメリットだと思います。そのためにも、それを使う我々自身の発想や行動をこれまでとは大きく変える必要があると思っています。

また、ワークショップで出た意見をChatGPTで表形式に整理し、新しい事業のアイデアを創出する場面でも活用できます。

画像: ワークショップでの ChatGPT 活用例:「社会課題」×「テクノロジー」で新しい事業アイデアを創出

ワークショップでの ChatGPT 活用例:「社会課題」×「テクノロジー」で新しい事業アイデアを創出

今後、どのように生成AI を活用していきたいですか?

先日、ソフトバンクの孫さんが「ChatGPTを毎日使っている人は?」とセミナーで会場に投げかけると、挙手したのはたった1割ほどでした。これに対して孫さんは「もうやばい、手を挙げなかった人は人生を悔い改めた方がいい。自分自身の人生を、自分はどういう考えで生きてきたんだ。ChatGPTは何回もテレビにも新聞にも雑誌にも出ているのに、それを自分自身で毎日活用してない。もうそれは電気を否定するとか自動車を否定する人と同じ」と声を張り上げていました。

ChatGPTがどのようなものかまだまだ懐疑的な人も多いと思います。それでもまずは使ってみることが大切だと思います。GPT-4が医師免許試験に合格したり、複数の言語を自在に操れたり、ChatGPTを使えば常人にはとてもできないことができます。それも数秒で。しかも生成AIはこれからもまだまだ進化を遂げていくことはほぼ自明です。

AIには適わないことがたくさんあります。でも卑下することはないと思います。むしろどのようにAIを使いこなすかが問われます。さらにAIに任せていいことはAIに任せて、人間がやるべきことが何かを見つけ出すことが大切だと思います。

AIが進化することで人間が行うべきことが変わるということだと思います。果たしてそれは何なのかを私も毎日ChatGPTを使いながら考えています。そしてその答えの一つがおそらくこれなんだと思っています。

 ”If you can dream it, you can do it.“ ウォルト・ディズニー

本当にやりたいという夢を描き、『意思』を持つことができるのは、どんなにAIが進化したとしても人間の役割なんだと思います。

関連リンク

生成AI|Lumada:日立 (hitachi.co.jp)

生成AI(Generative AI)コンサルティングサービス:株式会社 日立コンサルティング (hitachiconsulting.co.jp)

ChatGPTで話題の「生成AI」とは? 働き方を変える最新技術:社会イノベーション:日立 (social-innovation.hitachi)

※「ChatGPT」はOpenAI OpCo, LLCの登録商標です。
その他記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。

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