こんにちは、日立のデジタルシステム&サービスセクターの新任広報、鹿野です。昨今、毎日のように耳にする生成AIやChatGPTの話題。皆さんは日々の業務でどれくらい活用されていますか?「日頃から存分に活用している!」と、自信を持って答えられる方は、意外とそれ程いないのではないでしょうか。実は私もその一人です。
いずれ学ぶ機会がある、いつか勉強しよう・・・と言い聞かせてきましたが、日々目まぐるしく動く生成AIの潮流に乗り遅れないよう、今回、生成AIツールの知見や理解を深めるため、社内のワークショップに参加してきましたので、その内容についてレポートします。
データサイエンス部会交流会【初心者向けプロンプトソン】に参加してみた!
参加のきっかけ
今回参加したのは、日立のデータサイエンティストが加入する社内コミュニティ「データサイエンス部会」が主催する初心者向けプロンプトソン(ワークショップ勉強会)。日立でも社内用の生成AIアシスタントツール、通称「Effibot」(以下、Effibot)がリリースされ、活用が促進されていることは知っていましたが、これまできちんと触ったことがなく、社内のマニュアルをパラパラと見ながら一人で勉強しようかな・・と思っていたところ、今回のワークショップの存在を知り、「初心者向け」という優しい言葉に安心感を覚えたこと、また、他の方々はどんな状況かに興味があったことから参加を決めました。
データサイエンス部会交流会とは?
AIなどの最新技術をビジネスに適用するには、トップクラスの研究者と実ビジネスを担う実務者の交流・協力が必要となっている一方、誰に聞いたらよいかわからない、最低限の共通知識がないと意思疎通が難しい、といった課題があります。これら課題に対し、日立内のDX人財・データサイエンティストの育成と交流を促進するため、2018年度から立ち上がったコミュニティが「データサイエンス部会」であり、今回のようなワークショップやコンペ、情報共有を通して相互研さんを進めています。
いざ、ワークショップ開始!
本ワークショップは、全体で28名程が参加しており、参加者は6チームに編成された後、テーマに沿ってEffibotにプロンプト(AIに出す指示文)を入力していくワークがメインの勉強会でした。ワークショップは、職種や部門問わず参加可能であったため、私のグループは、アプリ開発を担当されているエンジニアや、クラウドやセキュリティサービスを担当されているエンジニア、公共分野の営業など、職種や年次、部門もそれぞれバラバラなメンバーで編成されました。
1時間半程のワークショップの流れは以下です。
- 自己紹介:10分
- 個人ワーク:10分
- グループ討議:15分
- 発表:10分
2の個人ワークでは、与えられたテーマと用意されたプロンプト例をEffibotに入力し、出てきた回答に対し、期待する回答がより得られるような改善案を検討します。その後、3のグループ討議では個人ワークでの気付きや考えを共有/意見交換し、4で全体に向けて発表という形です。ワークは全部で2つのテーマがあり、2~4を2回繰り返しました。
参加して感じたこと
▶ 感じたこと①:コツを掴むにはひたすら手を動かすべし。
今回のワークで求められていたことは、プロンプトの書き換えという非常にシンプルなものでしたが、「この要素をプロンプトに入れたらどうなるか?」、「こんな指示をしたらどう動くのか?」と考えながら、ひたすらEffibotとの壁打ちが続きました。時間が許す限り、プロンプトを作成して打ち込んで・・Effibotとの対話を繰り返し、幾つもスレッドを立てて試行錯誤し、欲しい回答に近づけていきました。
その結果分かったのは、「プロンプトの具体性が結果を左右する」ということです。背景や顧客が求める期待値、ターゲット層の設定など、具体的な内容でEffibotに指示をすると、より意図に沿った回答を得られることができました。私が今回選んだテーマは、「製造業向けのIoTソリューション提案書のテンプレートを作成する」というものですが、予め用意されたプロンプトと、Effibotと対話した結果、得た改善後のプロンプトを以下ご参考までに共有します。
(例)テーマ:「製造業向けのIoTソリューション提案書のテンプレートを作成」
*当初案(ワークで用意された案)
・入力したプロンプト:必要最低限の情報を指示
・出力結果(一部抜粋):タイトルやアジェンダの構成、各スライドの概要を提案してくれた
・作成できた資料(一部抜粋):スライドごとの概要が記載された資料が作成された
*改善案
・入力したプロンプト:前提、顧客課題や背景など詳細情報を追加し、指示
・出力結果(一部抜粋):提案書の草案となる形で構成、各スライドの概要を提案してくれた
・作成できた資料(一部抜粋):お客さまへ説明する文言で各スライドに内容を反映してくれた
▶ 感じたこと②:正直、自分にはレベルが高かった。「活用の習慣化」が当面の目標。
「初心者向け」という言葉に惹かれ、参加を決意した今回のプロンプトソンでしたが、頭を悩ませながら取り組んでいたためか、1時間半という時間が本当にあっという間であり、今回の時間内では納得のいくプロンプトを作成しきることはできず、自分自身がまだ初心者というレベルにも至っていないこと痛感しました。ただ、グループで話してみると、同じように試行錯誤しながら取り組んでいる方も多く、お互いが行き詰っている点が似ているところや、工夫したら変わった点を共有し合うことは大変勉強になりました。自分や周囲のレベル感を知ることができたのは、大きな発見であったと同時に、自分自身の当面の目標としては、「まだ使いこなせていないが、使い方は理解していて、習慣的に使っている」という「初心者レベル」への到達をめざしたいと思いました。
また参加する?しない?
今回学んだことを踏まえ、これから生成AIを業務で積極的に練習/活用していきたいと改めて思いましたので、自分のその時のレベルを把握する上でも、今後このようなワークショップがありましたら、また参加したいです。また、グループメンバーとは、ワークショップ終了後、Teamsで連絡を取り、「これ活用できるな」と見つけたものは互いに共有するようにしており、今回のようなワークショップに参加しなければ、普段中々ご一緒できない職種や年次の異なるメンバーとの繋がりもできました。私自身、今回ワークショップに参加したおかげで生成AIへの苦手意識が弱まり、メンバーと一緒にAI活用の一歩を踏み出すことができたと感じています。
今回の経験で改めて、生成AIの活用は実際に自ら手を動かしてみて、分かることや知っていくことが非常に多いと感じました。AIは「何でも屋さん」ではなく、私たちがAIと積極的に対話を繰り返し、AIが持つ能力を引き出すことで、その真の力は発揮されます。些細なことでもまずはAIに気軽に話しかけ、対話を通して、皆さんにもその可能性を自ら体験していただけたら嬉しいです。
また、一人一人の気づきや学びを共有することで、生成AI活用の輪は広がっていくため、身近に機会がありましたら、是非、ワークショップや勉強会などの参加も検討してみて頂けたらと思います。