Hitachi
お問い合わせお問い合わせ

 都内某日、AIコンサルタントのマスクド・アナライズ氏が、日立の協創活動のフラッグシップ拠点Lumada Innovation Hub Tokyoを訪問しました。ここで活動する日立の若手データサイエンティストとマスクド・アナライズさんが対談。彼らのキャリアパスや日立での経験、生成AIの活用事例、さらには、生成AIの未来やデータサイエンス業界のトレンドについて語り合いました。

画像: - YouTube youtu.be

- YouTube

youtu.be

登壇者

画像1: マスクド・アナライズと日立の若手データサイエンティストが語る!キャリアと生成AI

マスクド・アナライズ氏
AIコンサルタント

X(Twitter)やIT系ニュースサイトを中心に現場目線による辛辣かつ鋭い語り口で情報発信を行い、業界内で注目を集める謎のマスクマン。企業や大学におけるDX・AI・データサイエンス導入活用の支援、人材育成、イベント登壇、書籍や論文の執筆などを手掛けている。執筆・寄稿歴は「ITmedia」「ASCII.jp」「Business Insider Japan」「IT人材ラボ」(現「HRzine」)など多数。著書に『未来IT図解これからのデータサイエンスビジネス』(MdN刊・共著)、『AI・データ分析プロジェクトのすべて[ビジネス力×技術力=価値創出]』(技術評論社刊・共著)がある。

画像2: マスクド・アナライズと日立の若手データサイエンティストが語る!キャリアと生成AI

篠塚祐太
日立製作所 デジタルエンジニアリングビジネスユニット Data Studio
データサイエンティスト

大学にてスポーツバイオメカニクス分野の身体運動解析の研究に従事。その中で人に身近な課題についてデータサイエンスを活用して解決することで社会貢献したいと考え、2022年、日立製作所に入社。入社後は、生成AI導入案件のほか、OT領域(主に鉄道)のデータ分析案件を担当。

画像3: マスクド・アナライズと日立の若手データサイエンティストが語る!キャリアと生成AI

片渕凌也
日立製作所 デジタルエンジニアリングビジネスユニット Generative AI事業推進センタ
データサイエンティスト

2022年、日立製作所に入社。大学にて植物やオーロラの異常検知など、ディープラーニングと自然科学の掛け合わせ領域の研究に従事した後、データサイエンスを活用して、実際の現場における課題解決に挑戦したいという思いがあり、企業への就職を選択。現在はクライアントへの生成AI導入案件を中心に担当しており、個人でもChatGPT有料版に登録して毎日欠かさず数十回は利用している。Unsupervised Wisdom Challengeでの入賞経験あり。

画像4: マスクド・アナライズと日立の若手データサイエンティストが語る!キャリアと生成AI

露木雅文
日立製作所 研究開発グループ 先端AIイノベーションセンタ データサイエンスラボラトリ
研究員 (博士 (理学))

大学にて星間分子の赤外線吸収量予測など理論化学分野の研究に従事した後、日立製作所なら研究で多様な事業に貢献できると考え2016年に入社。入社後はITシステム運用のための異常検知、社内MLOps基盤による能動学習、電力分野の時系列予測自動運転のための映像解析などの研究を幅広く担当。直近では生成AIによる材料系特許からのDB自動構築技術で人工知能学会 全国大会優秀賞を受賞。

三者三様、データサイエンティストとしてのキャリアパス

 マスク:はじめまして。AIコンサルタントのマスクド・アナライズです。今日は、日立の若手データサイエンティストの方と交流する機会をいただきました。まずはみなさんの経歴、どのようにしてデータサイエンスの道に進んだのか教えてください。

画像: 三者三様、データサイエンティストとしてのキャリアパス

 篠塚:私は、もともとスポーツ工学を専攻し、スポーツの中で人の体の動きを分析しながら、データサイエンスの力を磨いてきました。2022年に日立に入社してからは、主に鉄道分野を担当しており、今は、お客さまに対し、データ分析から実際のシステム化につなげるまでの提案に力を入れています。

 片渕:私は、Generative AI事業推進センタという部署で、生成AIを活用した業務効率化の検証などを推進しています。データサイエンティストを志したきっかけは、大学時代に、データサイエンスにはまって、仕事でもデータサイエンスを使いたいと思い、日立を選びました。

画像5: マスクド・アナライズと日立の若手データサイエンティストが語る!キャリアと生成AI

露木:私は入社9年目なんですけれども、部署を転々としながら、今のデータサイエンスラボラトリという部署に所属しております。もともと大学では、分子の性質をシミュレーションで明らかにするという、データサイエンティストと関係ない分野の研究をしていました。計算機を使ってシミュレーションするものですから、計算機を扱えるところに就職したくて、日立の研究所に入社しました。当初はクラウド基盤をつくる研究を担当していましたが、基盤の運用管理において時系列データの条件で分析する話が増えてきて、徐々にデータ分析をするようになり、2020年に今の部署に移り、データサイエンスの研究を本格スタートしました。

 マスク: 篠塚さんと片渕さんは現場寄りのデータ分析を担当されていて、露木さんはもう少し先の将来を見据えたデータ分析の研究開発に携わっているのですね。みなさんはデータサイエンティストとして、ちょうど若手から中堅ぐらいのキャリアになりますが、今後こういったキャリアを積んでいきたい、などの将来像はありますか?

 篠塚:私は特に「お客さまとの協創」に力を入れていきたいと思っています。もちろんデータ分析のスキル向上は欠かさず行っていきたいですが、スキルだけ使っても、実際に使われないシステムだと意味がないので、お客さまと話しながら、一緒にこういうことをやりたいんだということを抽出して、それをデータ分析に反映できるようなキャリアを積んでいきたいと思っています。

 マスク:導入しても使われないというのはITの失敗事例としてよく起こりがちなので、そこをしっかりお客さまと対話して、使ってもらうシステムをつくることは、すごく重要ですよね。露木さんと片渕さんはどうですか?

 露木:私は、データサイエンティストをやっていると、どうしてもITの世界に閉じてしまうんですけれども、日立は製造業なので、実際のモノやリアルな何かに、自分の分析した結果が反映されて、世の中に届けられることになるといいなという夢はあります。

画像6: マスクド・アナライズと日立の若手データサイエンティストが語る!キャリアと生成AI

 片渕:私は海外にも目を向けたいなと思っています。日立が2021年に買収したGlobalLogicという米国IT会社との連携も進んでおり、実際に一緒に業務に取り組んでいます。こうした活動を通じて、日本だけではなく海外の課題解決に向けた経験も積んでいきたいと思っています。

 マスク:日本で成功したものを海外に展開する、逆に海外で展開したものを日本に持っていく。そうした世界に展開するグループ としてのシナジーを発揮できるのも日立の強みなので、ぜひがんばってほしいです。

急速な進化を遂げる、生成AIの可能性

 マスク:次に聞きたいのは、今話題の生成AI。みなさんは業務として使ったり、お客さま向けに提供したり、いろいろな形で生成AIと関わっていると思います。今後、生成AIがどのように進化するのか、また、生成AIでこんなことをやってみたいなどの考えはありますか? 

 露木:いまでもテキストだけではなくて、画像や音声も処理できるような生成AIが増えてきていますが、もっと進んでいくと、それこそちょっと極端かもしれませんが、匂いなど、いろいろなデータを処理できるようになって、本当に人間の仕事を直接助けてくれる、そんな世界になっていくと想像しています。

 片渕:私のチームはお客さまのコンサル業務も対応しているのですが、最近、チームで取り組んでいるのは、お客さまのヒアリング内容から、生成AIを使って、業務フローをフローチャートに落とし込んで整理するという検証です。これが進んでいくと、お客さまと直接会話する中で、それをリアルタイムで情報を整理していきながら、次に何を質問したらいい、これを聞いた方がいい、といったアドバイスをもらいつつ働ける、そういったことが将来実現できるようになってくるのではないかと思っています。

画像7: マスクド・アナライズと日立の若手データサイエンティストが語る!キャリアと生成AI

 篠塚:私は熟練者のノウハウを生成AIに肩代わりさせるようにしていきたいなと考えています。今でも機械で熟練の技を模倣してモノを作ることはありますが、生成AIを使うことによって将来的に熟練者の頭の中までも模擬できるんじゃないかと考えています。それが技術的にできるようになってくると、生成AIにどんな指示を出すか、どんな形で追加のドキュメントを提供するかが重要になっているので、データサイエンティストとしてはそこの力を磨いていきたいと思っております。

 マスク:確かに今、人手不足も叫ばれていますし、ベテランの知見やノウハウが失われていくのは大きな社会的な損失であるので、生成AIを使って再現したり、若手が継承 できるようになると、社会全体の利益にもなりますね。

 篠塚:はい、技能伝承など教育面へのインパクトも生成AIの大きな利点と思います。

視野を広げてキャリアを飛躍

 片渕:マスクさんは、データサイエンスの将来像やアイデアを日ごろから発信されていますが、普段どのように情報を収集して、考えを纏めているんですか?

画像8: マスクド・アナライズと日立の若手データサイエンティストが語る!キャリアと生成AI

マスク:最新情報に関しては、SNSやニュースサイトを常に見て、キャッチアップするようにしていますし、いろいろな分野の書籍を読むことで、社会情勢などの情報も得るようにしています。それに加えて、今回もこういった場を設けてもらいましたが、さまざまな企業の現場で働く人から、実際に働く中での気づきや思い、意見を聞くのも私にとって非常に重要なインプットとなっています。

露木:生成AIが大流行した理由の一つとして、「誰でも簡単に使える」ということが非常に大きかったと思っています。その一方で、誰でもAIが使える、誰でもデータ分析ができるということになると、データサイエンティストの仕事が減ってしまう恐れもあります。データサイエンティストのキャリアを積んでいく中で意識しておくアドバイスがあれば、お聞きしたいです。

マスク:確かに生成AIの能力は伸びていますが、完全に人間の仕事に置き換わるかというと、そういうわけではなく、あくまで人間の仕事や能力を伸ばしていくサポートや補助としての側面が強いと思います。逆に、あえて人間がやらなくてもいいような手間のかかる作業や単純作業を生成AIに任せることで、人間の仕事と生成AIをうまく両立させることが重要と思っています。
さらにみなさんのようなデータサイエンティストやエンジニアは、もともとスキルアップや情報収集、あるいは学習の習慣がついているので、簡単にそれが生成AIに置き換わってしまうということはないと思います。みなさんの持っている能力を生成AIでさらに伸ばしていく。できるようになっていくことがすごく増えていくので、より面白いことができる、自分の可能性を広げてくれる、そんな道具として使いこなすのがいいなと思います。

篠塚:マスクさんから見て、生成AIやデータサイエンスの分野における、日立のIT企業としての立ち位置はどう見ていますか?

マスク:やはり生成AIの全社的な活用をはじめ、全社一丸となって一つの目標に進めている一体感がすごく強いと感じています。また、日立はやはり、社会インフラ、具体的には鉄道やエネルギー、医療、製造、金融など、いろいろな分野で生活に密着した事業を展開しているのが特徴と思います。
今日みなさんと話していて思ったことは、日立だからこそできることのやりがいや面白みはすごく大きい。いろいろなお客さまと協創ができ、すごく視野が広くなる環境にいるので、自分が今担当していない部門の業務など、目の前の仕事以外にも目を向けて、視野を広げていくことによって、さらに面白いことができると思います。そういった可能性をどんどん生かしてほしいと思いました。

画像: 視野を広げてキャリアを飛躍

関連リンク

 生成AI|Lumada:日立

This article is a sponsored article by
''.