日立社内でも日々活用が進んでいる生成AI。全社員が充分に使いこなすレベルにはまだ至っていない状況ですが、「こんなことに使ったらどうか?」、「こうしたらもっと楽になるのではないか?」と積極的に生成AIの活用にトライする社員が日立には多いのです。
そんな社員たちが生み出した生成AI活用のユースケースを通して、ナレッジを共有し合い、ネットワークの輪をさらに広げることを目的として、「Microsoft 365 Copilot (以下:Copilot) 活用コンテスト」が2025年3月5日、日本マイクロソフト社の品川オフィスで開催されると聞きつけ、日立のデジタルシステム&サービスセクターの広報・鹿野が、前回の「社内プロンプトソン」に引き続き、
潜入して参りました!
当日はリアル+オンライン合わせて総勢180名近くが参加し、盛りだくさんだった150分のコンテストをギュッと凝縮し、ハイライトをお届けします!
コンテスト特集!の前に…主催部門「オペレーショナルエクセレンスAI推進室」とは?
今回のコンテストの主催部門は、「オペレーショナルエクセレンスAI推進室」。
社内で通称(OEA推)と呼ばれる当部門は、デジタルシステム&サービスセクター内を中心に
調達、人事、財務、法務などのバックオフィス業務における生成AI活用の促進や事業貢献を目的に、2024年10月に新設されました。「Everyday AI」をミッションとして掲げ、現場部門とのつながりを
大切にすべく、現在は全員が兼務メンバーで構成されていて、まさに各事業部や部署とのハブの役割を担いながら、生成AIの徹底活用をめざす実行部隊です。
10月の部門発足後、オペレーショナルエクセレンスAI推進室では、ワークショップやPoCなどのさまざまな活動における情報の発信や相互の共有を通して、生成AI利活用を推進しており、今回の「Copilot 活用コンテスト」もその一環として、25年度以降の事業部門やグループ会社への生成AI活用促進に先立ち、実施されました。
Copilot活用コンテストの実施要領
〇事前選考
・応募期間:2025年1月7日(火)~1月27日(月)
・オペレーショナルエクセレンスAI推進室のメンバーが所属するバックオフィス部門が
対象。その中でもCopilotライセンスを持っている人を対象に、
Copilotの便利な使い方、一歩踏み込んだ使い方や業務に活用している使い方を募集。
全部で27件の応募が集まり、独自性・成果・汎用性の3つの観点で審査されました。

(Copilot活用コンテストの応募要項)
〇本選
・実施日:2025年3月5日(水)
・事前選考の27件の中から選ばれた10件が集まり、
持ち時間8分(準備1分+発表5分+質問1分+バッファ1分)の中で、
Copilot活用ユースケースをプレゼン。日立とMicrosoft社から選ばれた5名の審査員が
総合的に判断し、日立賞(2組)、Microsoft賞(2組)、オーディエンス賞(1組)の各受賞者を決定。
オーディエンス賞は、Microsoft Teamsの機能であるPollsにて、聴講者同士の投票で選出。
Copilot活用コンテストのダイジェスト
〇いよいよコンテスト開幕!
日本マイクロソフト株式会社のモダンワーク統括本部 業務執行役員 統括本部長の横須賀氏と、
オペレーショナルエクセレンスAI推進室を束ねる原田室長が挨拶に立ち、今回のようなコンテストでのリアルケースの共有が今後の資産になっていくとのコメントや、「ネットワークを大事にしながらコミュニケーションの輪を広げ、新しい気付きを持ちかえって頂けたら」と期待を寄せ、コンテストの幕が開けました。

日本マイクロソフト株式会社のモダンワーク統括本部 業務執行役員 統括本部長横須賀氏

オペレーショナルエクセレンスAI推進室 原田室長
〇事前選考を勝ち抜いた、10組のCopilot活用例がこちら!
27件の応募から選ばれた、ファイナリスト10組のユースケースは以下です。

(ファイナリスト10組のプレゼン一覧)
それぞれの登壇者は、Copilotを取り入れた対象業務や実際に利用したプロンプト、活用した効果としてのBefore/Afterを中心に、時にはプロンプトを打ち込み、Copilotが動いていくデモ画面なども見せながらプレゼンを行いました。

(プレゼンの様子)

プレゼン後は、審査員やコンテスト参加者からの質疑があり、「このプロンプトはどうやって考えたのか?」や、「実際に使ってみて周囲の反応はどうだったか?」など、内容や効果に関する深堀がありました。

(プレゼン資料抜粋)
各組のプレゼン内容が気になる方は、本記事下部のAppendixにまとめていますので、よろしければご覧ください!
〇講評、入賞者発表
・講評
全10組の発表が終了後、コンテスト全体の講評の時間に。
そこで出てきたのは、なんと・・・AIアバター!なぜか外国人の見た目をした講評者AIアバターからは、「VBAマクロの作成にCopilotを使うのは非常に有効だと感じた」など、アバター自身が特に感銘を受けた内容をピックアップしながら10組のプレゼンを振り返り、「今回のコンテスト内容は、部門共通で効果を享受しやすいユースケースであり、Copilotにとどまらず、他の生成AIツールでも活用できる共通テンプレートであった」と述べ、その後の入賞者発表へと華麗に繋げました。
-(AIアバターによる講評)
youtu.be・入賞者発表
精鋭10組の発表の中で見事入賞されたのは・・・下記のプレゼンでした!

(Copilotコンテスト入賞者一覧)
Teams内の投票機能Pollsで参加者から一番投票数を獲得し、栄えある「オーディエンス賞」を、受賞されたNo.10のプレゼン概要と受賞者からのコメントをご紹介します!
オーディエンス賞:No.10「チームメンバー成果振り返り」
■対象業務:特定期間におけるチームメンバーの業務・成果整理と振り返り(1on1など)
■対象者(想定):マネージャー(チームリーダ、課長相当職)
■Copilot活用のBefore/Afterと効果
<Before>チームメンバー成果振り返りのために、以下作業を実施。
・手動でメールやチャット、ドキュメントといった複数の情報源から情報を収集
・検索する際には、個人の記憶に頼りキーワードを思い出しながら、検索を実施
・手動で情報を整理し、表形式にまとめ
<After>Copilotにより以下作業を自動化
・チームメンバーの業務内容や貢献を自動的に抽出し、短時間で表形式に落とし込み
・作成した表を基に、重要な成果をピックアップ
<効果>
・手動で情報を収集する必要がなくなり、時間の節約と情報の正確性が向上
・まとめた情報を使って1on1をすることで、本人も忘れていた成果を思い出せる
・準備工数が少なくなることで、1on1実施の障壁が下がり、
チームメンバーとのコミュニケーション向上
(プレゼン資料(プレゼン概要))
(プレゼン資料(プロンプト例))
■受賞者コメント

「オーディエンス賞」をいただき、大変有難く思っています。
今回、皆さんが普段の業務で使えるような活用法として「チームメンバーの振り返り」をテーマに応募しました。実際に多くの方に「使ってみたい!」と思っていただけたようで、とてもうれしいです。私も部下との面談で実際に活用し、気づきにつながりましたし、部下だけでなく自分自身の成果振り返りにも活用できます。評価する側とされる側本人の両方で活用すれば、今後もっと精度が上がると思っています。今後も活用を続けてブラッシュアップしていきます!
ぜひ、皆さんにも「チームメンバーの振り返り」にCopilotを活用ください。そして、こっちの方がいい成果が出るよ!など、フィードバックいただけるとうれしいです。この度は、ありがとうございました!
〇閉会の挨拶
デジタルシステム&サービス営業統括本部 Executive Strategy Unit 本部長であり、2025年1月に発表された16人のGenAIアンバサダーの一人でもある秦和男が閉会の挨拶を行いました。
デジタルシステム&サービス営業統括本部 Executive Strategy Unitの秦本部長による閉会の挨拶
秦は、「AIの活用は目的でも手段でもなく、当たり前になる時代を作っていくのが、Microsoftと日立。その未来に向かって突っ走っていきたい。」と、日立のAI事業を率いるアンバサダーの観点から、今後の未来についても述べられました。また、削減時間の観点だけでなく、その時間で何ができたかを発信していくのが、当たり前の状態に近づくやり方であると語り、今回のCopilot活用コンテストの開催が第2回、3回と続くことを信じて、全員で盛り上げていきたい」と締めくくられました。
取材後記
今回はCopilot活用コンテストの模様をお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?
職種や年次を問わず、誰もがイメージしやすいプレゼンテーションばかりで、私自身、聞きながら「そんな使い方もあるのか!」という気付きや、「今度やってみようかな」とワクワクさせられました。審査員の方々も仰っていましたが、生成AIを使うことを「当たり前」にしていくのは私たちユーザー自身です。自分にとっては当たり前のように生成AIを活用している業務が、他の人にとっては新しい発見かもしれない。その気付きの共有で生成AIの知識やスキルは磨かれていくと、今回Copilot活用コンテストを取材してみて改めて感じました。
生成AIのコミュニティの輪を広げるべく、今後も日立はさまざまな取り組みを行っていきますので、是非楽しみにしていただければと思います!
Appendix
コンテスト発表者10組のユースケース概要は以下となります。
No | 発表タイトル | 発表タイトル |
---|---|---|
1 | 幹部向け報告資料の英訳を軽くしたい | ■活用内容 月次で作成する幹部向けの日本語の報告資料(Word形式、3000字程度)に Copilotを使い英訳。社内用語や略称もインプットさせ、 自然な訳かどうかをフィードバックしてもらう。 ■効果 ・色んなツールを併用していたがCopilot1つで完結できるように ・体感で2割ほど工数減 |
2 | イベント調整もCopilotで楽しよう! | ■活用内容 社内イベントの開催日調整にCopilotを使用。会社休日含めた 祝日情報も組み込まれた投票機能の付いたExcelファイルを生成。 ■効果 ・候補日一覧の作成、メールへの転記、集計などの煩雑な作業が削減 |
3 | 未来洞察を元にした マーケティングイベントでの 顧客ディスカッションのシミュレーション | ■活用内容 マーケットリサーチ、仮説シナリオの作成、 イベント企画および運営にCopilotを使用。Copilotに調査資料を インプットし、仮説シナリオのたたき台を作成してもらう。 さらに、生成された叩き台を基に、イベントのテーマを企画し、 シミュレーションも実施。 ■効果 ・工数の大幅削減 ・有効性の検討など、前もってイベントの準備が可能に |
4 | Myイメージを即時クリエイト | ■活用内容 社内アプリの名称、ロゴ作成にCopilotを使用。 アプリの目的をCopilotに伝え、アプリ名称を案出ししてもらう。 さらに、決まったアプリ名称を基にロゴ案を出してもらい、壁打ち。 ■効果 ・募集~決定まで1か月程掛かると見込まれる作業時間を短縮 ・自作が難しく、本来は外注が必要なロゴの作成をCopilotで代替 |
5 | ドキュメント交渉アシスタント | ■活用内容 ドキュメントの要約・要点の抽出、交渉のアイデア出しにCopilotを使用。 契約約款をCopilotにインプットし、確認したい記載を抽出。 さらに、顧客からの想定質問も案出ししてもらう。 ■効果 ・契約文書の整理や交渉準備など営業業務にかかる時間が大幅に改善 (契約文書の整理は半日~1日⇒わずか10分に) ・顧客への対応スピードUP |
6 | ExcelのVBAマクロ初心者でも Copilotに問い合わせれば簡単に作成可能 | ■活用内容 プロジェクト管理資料の内容確認にCopilotを使用。 プロジェクトメンバーが記載した内容と 資料の整合性をCopilotで照らし合わせ。参照時に使用した VBAマクロは、マクロ作成からツール開発までCopilotで対応。 ■効果 ・400分程かかっていた目視確認作業の時間を半分の200分に短縮 |
7 | 設計書からプログラムへのファストパス | ■活用内容 設計書からプログラムを作る上でCopilotを使用。 出力したいサンプルコードを数行記載した上で、簡単な指示、 設計書の表のコピーをCopilotに入力し、コードを生成。 ■効果 ・手作業で行うとミスが入りやすく、数が多いと煩雑で かなりの工数が必要になるコードの作成作業を簡略化 |
8 | 競争入札参加資格申請に関わる 市町村情報のCopilotによる情報一括収集 | ■活用内容 各自治体の申請書提出期限や様式の調査にCopilotを使用。 市町村ごとのHPに載っている情報をCopilotで一括収集した上で、 テーブル形式に出力し、リスト化。 ■効果 ・調査時間及び反映作業を効率化し、97%の時間削減 (約33時間かかっていた業務が約1時間に短縮) |
9 | データ変換の新時代: Copilotで業務をスマートに | ■活用内容 データの変換及び計算の自動化にCopilotを使用。 Excelでのデータ分析を行う際、 「できることは分かるが、やり方が分からない」という状況になった際、 やりたいことをテキストでCopilotに伝え、関数を教えてもらう。 ■効果 ・対応時間の削減(自力で調べると1つの関数辺り20~30分程かかる) ・あらゆる業種の人が簡単に質の高いデータ分析を可能に |
10 | チームメンバー成果振り返り | ■活用内容 特定期間におけるチームメンバーの業務・成果整理と振り返り(1on1など)に Copilotを使用。メンバーが作成したExcel、メール、PowerPointなどの 情報をCopilotに取り入れ、実施した作業を一覧で出力。 ■効果 ・手動で情報を収集する必要がなくなり、時間の節約と情報の正確性が向上 ・準備工数が少なくなることで、1on1実施の障壁が下がり、 チームメンバーとのコミュニケーション向上 |
関連リンク
・日立グループにおける生成AI(最新技術)の活用に関するサイトはこちら
・GenAIアンバサダーご紹介サイト
・生成AI|Lumada:日立
・【新任広報 体験レポ】生成AI初心者が「社内プロンプトソン」に参加してみた!(前回記事)
商標について
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