日立が誇る提案活動専門部隊の「CPC(クリエイティブプロポーザルセンタ)」。2024年12月、提案活動に従事する専門職のための世界的なコミュニティ「Association of Proposal Management Professional(以下、APMP)」が表彰する「Bid and Proposal Team of the Year 2024」に日本企業で初めてファイナリストとしてノミネートされたCPCですが、今回、日本から飛び出し、アメリカのテネシー州で開催された世界中の提案活動のプロたちが集まる「BPC Nashville」での講演を実施してまいりました!スタンディングオベーションで幕を閉じた講演とイベントのアフターレポートをギュッとお届けします!

BPC Nashvilleアフターレポート!
Nashvilleイベントをレポート!の前に…CPCとは?
〇お客さまにとっての最善な提案をサポートする専門部隊!
今回、「BPC Nashville」に参加したのはCPC。日立のデジタルシステム&サービスセクター内に所属する部門で、現在12名のメンバーが在籍しているCPCは、いわば日立の中の提案活動専門部隊。CPCはグローバル企業が参加する提案専門家の機構「APMP」に日本企業として初めて参画し、なんと全メンバーがAPMPのFoundation資格*¹を取得しています。

CPC(クリエイティブプロポーザルセンタ)のメンバー
CPCのミッションは、お客さま価値を最大化する提案をめざし、営業やSEなどのフロントチームの提案力を向上させること。主に「プレ活動フェーズ」と「提案書作成フェーズ」において、案件支援サービスや勉強会を通じて、ツールやノウハウを提供しています。APMPの「BOK(ナレッジ集)*²」に基づくベストプラクティスと社内の成功事例を組み合わせ、CPCが社内に提供している提案ツールは年間14万回以上ダウンロードされている他、提案ノウハウ講座には累計3,000名が受講するなど、社内の提案力強化に貢献しています。
さらに最近では、これらのグローバル標準の手法を取り入れた積極的な活動が評価され、業界のベストプラクティスをベースに自社の強みや革新的な手法を用いて、お客さま価値を高める提案活動を行った企業や個人に対しAPMPから贈られる賞である、「Bid and Proposal Team of the Year 2024」で日本企業初のファイナリストに選出されました。
*1 Foundation資格とは:プロポーザルマネジメントの基本的な知識とスキルを証明するための資格。提案書作成やビジネス開発に携わるプロフェッショナルが対象で、APMPの資格体系の中で最初のステップに位置づけられている。この資格を取得することで、プロポーザルマネジメントの基礎知識を持っていることが認められ、キャリアの基盤を築くことができる。詳細はAPMPの公式サイトをご参照ください。
*2 BOK: Body ofKnowledgeの略。提案、入札、案件管理、および事業開発におけるベストプラクティスを収集して作成された世界基準の提案ノウハウが詰まった知識体系。APMP会員であればWEB上でいつでも閲覧可能。
Nashvilleイベント概要
〇80を超える世界中のセッションと提案のプロが一堂に会す!
今回、CPCが参加した「BPC」とは、Bid and Proposal Conferenceの略で、提案活動に従事する専門職のための世界的なコミュニティ「Association of Proposal Management Professional(以下、APMP)」が主催するカンファレンスの1つであり、毎年3月にヨーロッパ、5~6月にはアメリカの各都市で開催されています。アメリカ開催時には世界中から毎年1,000名以上が集まるビッグイベントである本カンファレンスには、世界中の提案活動のプロフェッショナルが集い、多彩なセッションやネットワーキングの機会が設けられています。
今回の「BPC Nashville」は、5月18日~21日の4か日間にかけてアメリカのテネシー州で行われ、全世界から約1,300名の参加者が集まりました。

(BPC Nashville会場の様子)
Nashvilleイベントのダイジェスト
〇日本企業として初めて、日立が講演!
本カンファレンスでは、会場内の各所で1セッション45分のセッションが終日行われ、カンファレンス初日には認定資格のトレーニングも受講できるようになっていました。今年は約80のセッションが実施される中、日本からは2つのセッションが選ばれ、その一つに、APMP日本支部創設者で日本プロポーザルマネジメント協会*³の代表理事 式町久美子氏とCPCセンタ長 佐々木大輔の共同登壇セッションが実現しました。このセッションは日立にとっても特別な意味があります。海外のAPMP公式イベントに登壇したのは、なんと日立が日本企業として初だったのです!さらに、この瞬間は、APMP日本支部の創設当初からの夢であった「日本企業が海外イベントに登壇する」という目標の第一歩を実現したものでもありました。
*3 日本プロポーザルマネジメント協会:プロポーザルマネジメントの日本への普及を目指して2015年に設立された組織であり、日本で唯一のAPMP認定トレーニング組織として、APMPの知識体系に基づいた企業向け研修やコンサルティングを通じて提案活動に従事する企業の組織変革を支援。また、APMP会員を中心とした勉強会やネットワーキングイベントの企画・運営を通じてAPMP日本支部の運営支援も実施。
〇いよいよ、CPCセンタ長・佐々木の講演!
前述の通り、CPCセンタ長 佐々木と日本プロポーザルマネジメント協会 代表理事の式町氏との共同登壇形式で実施された講演は、日本支部のゼロからの立ち上げと実績に関する式町氏のプレゼンから始まりました。式町氏からバトンを繋ぐ形で佐々木は、アメリカと日本のマーケットの違いを踏まえて、まだプロポーザルマネジメントの文化が浸透し切っていない日本で実装する事の難しさや気づき、日立という大きな会社でCPCをどうクイックに立ち上げたかなどについて、これまでの活動経験を踏まえてプレゼンを行いました。提案活動をより良くしていきたいと同じ目標を持つ仲間でもある聴講者に向けて、25分にわたるプレゼンで佐々木は主に以下2点のポイントを伝えました。

佐々木の講演中の様子
・日本市場は米国市場と大きく違う!「プロポーザルマネジメント」実装までの戦略
日本では営業の役割が米国などの他国とは大きく異なり、プロジェクトマネージャー、社内調整役、クライアントにとってのアドバイザー…など、単なるセールスパーソンというだけではありません。その為、日本市場では、個人と組織の提案力を高める「プロポーザルマネジメント手法」を営業部門に導入することが組織改革への近道となります。この手法を効果的に取り入れるためには、日本の営業チームが重視する関心事、すなわち「ホットボタン」を理解することが重要です。

日本の営業チームのホットボタン
ホットボタンを抑えるポイントは、主に「戦略的ポジショニングによる信頼構築」と「プレ活動フェーズと提案書作成フェーズにおける支援」の2つです。これらの点を意識し活動を続けた結果、CPCでは、90%を超えるユーザー満足度を達成したと佐々木は強調しました。
・CPCでの活動から得たインサイトと今後の展望
2018年にCPCを立ち上げ、日立の提案品質を向上させるために邁進してきたこれまでの活動を振り返った時、佐々木は2つの重要なインサイトを得たと述べました。

2018年の設立から今に至るまでのCPC活動
1つ目は、「プロポーザルマネジメント」の実装には地域に合った最適な戦略があり、市場・企業・ターゲットを把握した上で戦略を立案するべきであること。2つ目は、「プロポーザルマネジメント」の文化が浸透し切っていない日本のような国では、導入に一定時間が掛かるものの、一度取り入れると、その動きは加速できるということです。また、CPC活動の次のステップとして、佐々木は「AIを活用し、提案活動において20%の生産性向上をめざすこと」と、「日本企業の知識やノウハウでAPMPコミュニティ活動に貢献していきたい」と意気込みを語りました。
・活発な質疑とスタンディングオベーション!!
プレゼン後の質疑応答セッションでは、聴講者から、「活動を推進する上で出てくるネガティブフィードバックはどう乗り越えたのか?」や「どのように効果測定したのか?」など、同じように提案活動に従事する方ならではの視点での質問を多くもらい、「ネガティブフィードバックに対しては、気にしすぎず気合で推進…!」などの回答で、会場の笑いを誘う場面もありました。

聴講者から質問を受ける佐々木
佐々木撮影の講演聴講者とのセルフィ―
笑いと共感に包まれ、佐々木への質問は絶えず、会場の片づけが終わるまで並ぶほど場が盛り上がる中、講演はスタンディングオベーションで終わりました。さらに、イベント事務局から実施後に届いたフィードバックでは、「日本での提案活動の発展を学べて新鮮で有益だった」、「日本人スピーカーのクロスカルチャーな経験と洞察が素晴らしかった」、「東アジアでの事例が珍しく興味深かった」など、数多くの高い評価も頂きました!

佐々木講演後のスタンディングオベーションの様子
参加して感じたこと
〇イベントを経て、CPCメンバーが振り返る自分たちの今
海外イベントでの初講演に加え、事前に入念に計画し、各場所で行われるセッションへ最大限参加し、視察をしてきたCPCメンバーたちに今回のイベントを振り返ってもらいました。

(CPCメンバーたちが事前に立てていたセッション参加計画)
・これまでのCPCの活動は世界と肩を並べられるものであること
今回、「BPC Nashville」に参加したことで、これまでのCPCの活動が間違っていなかったと、再確認できる機会となりました。特に、世界の最先端の提案プロフェッショナルが各セッションで共有したノウハウや思考方法、課題の定義方法は、CPCが提案プロセスの中で重視している観点と多くの共通点がありました。このことから、CPCの歩みは正しい方向に進んでいると思えたと同時に、その重要性を改めて認識することができました。
・未開拓の領域はまだまだ沢山あること
今年のBPCでは、AIの活用に関するセッションが例年以上に多く、世界的な関心の高まりを強く感じました。特にアメリカでは、AIが提案プロセスに組み込まれ、実務レベルでの運用が進んでいる事例が紹介されました。一方で、CPCにおいてはAIの活用の余地がまだまだ多く残されていると考えています。そのため、今回のBPCで得られた知見を基に、CPCにおけるAI活用の可能性をいかに広げていくかが今後の重要なテーマとなると考えており、CPCとしても今後取り組んでいきたいと考えています。
次回の「BPC2026」は、2026年5月13日(水)~5月16日(土)にて、アメリカ・コロラド州 デンバーにて開催を予定されています。今年に引き続き、参加することになった折には、さらにパワーアップした日立のCPCチームの様子をお届けできればと思いますので、乞うご期待ください!
イベント裏話…
「BPC Nashville」内の講演に備え、スクリプトを印刷して持ち込む予定だった佐々木ですが、印刷設定がうまくいかず、約20ページに渡る原稿を現地で全てノートに手書きで書き綴るという、ハプニングも…。しかし、そんな様子を微塵も感じさせることなく、見事にプレゼンテーションをやり切った佐々木氏。CPCメンバーも改めて佐々木の凄さを感じたとか…!
その他関連リンク
・APMP 日本支部によるイベントレポート(CPCメンバーが参加した様子や佐々木の講演について掲載されています。)
・佐々木と共同登壇を行った日本プロポーザルマネジメント協会・代表理事・式町氏によるイベントレポート
・日本企業初、日立の提案活動専門部隊が「Bid and Proposal Team of theYear 2024」でファイナリストとしてノミネート