Hitachi
お問い合わせお問い合わせ
日立製作所(以下、日立)が、ストレージをはじめとしたITプロダクツ設計・製造拠点である神奈川事業所(神奈川県秦野市)における、カーボンニュートラルに向けた製品のライフサイクルアセスメント(LCA)の取り組みやノウハウを「EcoAssist-Pro/LCA」として社内外に展開する。
神奈川事業所では、新製品や既出荷製品に関わらず、設計部品表(BOM:Bill of Materials)をベースに、原料の調達から、製造工程における燃料・電力の使用、製品の使用・廃棄に至るCO2の排出量を、製品単位で精緻に自動算定・可視化する実証を2023年1月から行っており、今回、実製品での効果検証を完了した。
また、これを受けて、「EcoAssist-Pro/LCA」の拡販活動を開始するとともに、要件定義、お客さま環境での実証実験を順次進め、2024年3月の提供開始をめざす。
今後、「EcoAssist-Pro/LCA」を日立グループの製造拠点のみならず、お客さまや社外パートナーにも展開することにより、算定に要する膨大な工数を削減するほか、各Scopeでの排出量の把握と課題箇所を明確にし、より効果的な脱炭素化に向けた取り組みを行うことが可能になることで、社会全体のカーボンニュートラル実現に寄与していく。

背景

これまで企業は「地球温暖化対策の推進に関する法律」や「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」に対応するため、事業単位の温室効果ガスの排出量可視化に取り組んできた。今後、欧州エコデザイン規制(ESPR)や炭素国境調整メカニズム(CBAM)が順次導入されることで、企業は製品ごとの排出量を定量的に算定することも求められる。
現在、多くの製造業では、サプライチェーンにおける温室効果ガスの排出量算定において、データ収集や算定に多大な人手と時間を要している。今後は、全製品に対象が拡大となることが予想されており、現状のステークホルダーからの要求に基づく都度算定からの脱却、さらに事業単位の排出量のエビデンスとなる算定の仕組みを構築することが必要不可欠となる。
そうした中、日立ではBOMをベースに、調達する素材・部品の重量、自社の加工・組立・検査工程の電力量、製品の消費電力などの関連システムと連携し、製品単位でのCO2の排出量を実態に沿って算定することを可能としたシステムとして「EcoAssist-Pro/LCA」を開発した。そのうえで、将来のESPRやCBAMに対応を見据え、グローバルのサプライチェーンでビジネス展開を行い、既に海外から開示要求のあるストレージなどのITプロダクツ製品を製造する、神奈川事業所にて実証を重ねてきた。
また、最近では、神奈川事業所以外でも大みか事業所の一部製造工程にて「EcoAssist-Pro/LCA」を活用した実証を進めているほか、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が事務局を務める Green x Digital コンソーシアム*1に参加することにより、自社のCO2排出量をサプライチェーン上で共有することで、サプライチェーン全体における排出量の算定に向けた取り組みを先行的に進めている。
日立は、「EcoAssistシリーズ」として「EcoAssist-Enterprise*2」をこれまでに製造、流通・小売、電力など幅広い業種に提供し、事業単位での脱炭素を支援してきた。今回、製品単位の脱炭素を支援すべく、神奈川事業所での実証をもとに、「EcoAssist-Pro/LCA」を「EcoAssistシリーズ」のラインアップに加え、新たに外販化する。

*1 2023年2月15日、JEITAニュースリリース「Green x Digital コンソーシアム、異なるソリューション間での CO2データ連携の技術実証に成功」
*2 環境情報管理 EcoAssist-Enterprise

神奈川事業所における脱炭素実証について

日立では、2023年1月より、神奈川事業所における新製品や既出荷製品において、「EcoAssist-Pro/LCA」を活用した製品単位ごとのライフサイクルに関する脱炭素実証を開始した。本実証では、BOMから部品の材料や重量情報を取得し、Scope3の上流におけるサプライヤー側からのCO2排出量を算出する。
さらに、Scope1、2においては、製品ごとに異なる製造プロセスや使用設備に基づき、電力量、燃料使用量の実測値から排出量を算出する。これに加えて、Scope3の下流の製品使用時の消費電力をデータベースから取得し、製品廃棄時の排出量も加算することで、Scope1~3の製品レベル全体でのCO2排出量算出の自動化、ダッシュボードによる見える化、さらに各種分析ができることを確認し、「EcoAssist-Pro/LCA」のソリューション化に至った。
本実証では、神奈川事業所における出荷製品のうち、約950の販売形名を対象に、CO2の排出量算出を実施している。現在、算定結果のデータ検証を継続して実施するとともに、2023年度末を目標に排出量算定対象の販売形名を拡大して、実証実験を完了させる予定。
また、その算定結果をもとに、CDP*3サプライチェーンプログラムの回答、および今後のステークホルダーへの会社・事業単位での報告に活用することをめざしている。

*3 CDP: 英国の慈善団体が管理する非政府組織(NGO)であり、投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営

画像: 「EcoAssist-Pro/LCA」のダッシュボード画面

「EcoAssist-Pro/LCA」のダッシュボード画面

今後の展開

日立では、神奈川事業所での実証を引き続き推進するとともに、さまざまな企業間取引を支えるクラウドサービス「TWX-21」*4とのEDI連携によりサプライヤーからの1次情報を取得するなど、さらなる算定精度の向上によるソリューションの機能強化を図っていく。また、製造業におけるレジリエンス強化やGX推進に向け、日立グループのLumada*5ソリューションのみならず社外のシステムやサービスとのネットワークもあわせて強化し、グローバルでの企業間データ連係を推進。
今後は自社の製造拠点を中心に実証を重ね、その成果をグローバルに社外拡大し、お客さまの脱炭素対応に関する課題解決に貢献していく。

*4 これまで85,000社以上のお客さまの受発注業務などの企業間取引を支えるSaaS型クラウドサービス TWX-21
*5 お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称

「EcoAssist-Pro/LCA」のサイトはこちら

This article is a sponsored article by
''.