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 日立製作所(以下、日立)は、野村総合研究所(以下、NRI)、EIZOと共同で、WBCSD*1のPartnership for Carbon Transparency(PACT)*2実証実験を実施・完了した。本実証は、NRIがリード企業*3として、日立とEIZOはサプライヤーとして、実測値に基づく製品製造におけるCO2排出量のデータ連携を行ったものだ。その結果、NRIが開発した温室効果ガスの排出を追跡するカーボントレーシングシステム「NRI-CTS」*4と、日立のサプライチェーンにおける脱炭素の推進を支援するソリューション「EcoAssist-Pro/LCA」という、異なるシステム・ソリューション間でのCO2排出量のデータ連携に成功した。本実証は、今後世界規模での環境データ連携を実現するにあたり、サプライチェーン上のエコシステム形成に向けた先進的な取り組みとなる。

*1 WBCSD: World Business Council for Sustainable Development(持続可能な開発のための世界経済人会議)
*2 PACT: The Partnership for Carbon Transparency(炭素の透明性のためのパートナーシップ)
*3 サプライヤーと、システムを通じてCO2排出量のデータのやり取りを行う企業
*4 カーボントレーシングシステム「NRI-CTS」

本実証に至った背景

 2050年のカーボンニュートラル実現に向けたサプライチェーン全体の脱炭素化が強く求められる中で、サプライチェーン全体のCO2排出量の正確な把握と削減努力が不可欠となっている。しかし、調達先をはじめとしたサプライチェーンに属する当事者が、CO2排出量の算定にあたりそれぞれが異なるソリューションを利用しているケースも多く、データ連携を行うための共通的なデータフォーマットや接続方式などが確立されていないため、全体のCO2排出量把握に苦慮するケースが増えている。
 こうした中、日立は1995年から、NRIは2019年から、経済・環境・社会に関するルール策定・提言活動を行っているWBCSDに加入し、その後両社はWBCSDのもとで実測値に基づく製品製造におけるCO2排出量算定のためのデータ交換ルールを提唱しているPACTに参画し、上記の課題解決をめざしている。

本実証について

 本実証は、2023年5月から、NRIの主導のもと、日立、EIZOの3社で、PACTがPathfinder Framework(排出量開示ガイドライン)のオペレーション実装に向けて世界規模で推進している、スケールアップ実証実験として実施された。
 本実証においては、NRIがリード企業として、日立はNRIのストレージ調達先として、そしてEIZOはNRIのデスクトップモニター調達先として参画しました。その上で、NRIがNRI-CTSを用いてCO2排出量の全体取り纏めを行う一方で、サプライヤーである日立とEIZOが実測値に基づくCO2排出量の算定を個別に行い、両社からNRIに対するデータ連携に成功した。
 日立は、上記データ連携にあたってEcoAssist-Pro/LCAを活用し、自社のストレージ製品について、部品・材料調達過程で発生したCO2排出量、さらに自社工場のエネルギー消費量の実測値をもちいてストレージの製品製造過程におけるCO2排出量を算定した。この算定結果を、Pathfinder NetworkのAPIを介して、製品の出荷先であるNRIのNRI-CTSに提供することにより、異なるソリューション間でのデータ連携を行った。なお、今回の実証参画に先立ち、NRIとConnectathon*5と呼ばれる相互接続テストを完了し、日立のEcoAssist-Pro/LCAはPathfinder Networkに準拠したソリューションとして認定*6された。
 あわせて、EIZOはNRI-CTSを利用し、自社工場のエネルギー消費量実測値を用いてデスクトップモニターの製品カーボンフットプリントの算定とデータ連携を実施した。

*5 WBCSDのPACTが運営するPathfinder Networkに準拠したソリューションが行う相互接続テスト
*6 WBCSDのPACT のOnline CatalogにConformant Solutionsとして掲載

今後について

 日立は、今後は本実証を通じて得られたノウハウをもとに、グローバルなサプライチェーンデータベースへの接続ならびにデータ連携の実証にも参画していくとともに、他のソリューション提供企業との連携や官民協力についても、より注力する。また、その成果を国内のみならずグローバルにも拡大し、社会全体の脱炭素対応に関する課題解決に貢献していく。

「EcoAssist-Pro/LCA」のサイトはこちら

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