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日立グループでは、自社内の多様なアセット*1を蓄積・共有・活用するためのプラットフォーム「Lumada Solution Hub(以下、LSH)」を利用し、開発の効率化、リード獲得への支援、最新のテクノロジーの活用、デリバリーなど、さまざまな価値をお客さまに提供してきました。今回、LSHでのアセット利活用をさらに進化させるべく、コミュニティ型の社内ナレッジ管理基盤「Knowledge Management Platform(以下、KMPF)」をGlobalLogicと共同開発しました。
One Hitachiで推進している自社内アセットの利活用の取り組みや、組織の垣根を越えた技術深耕について、デジタルエンジニアリングビジネスユニットのChief Lumada Business Officerを務める西脇康人と、LSHのグローバルテクニカルリードの倉田糧輔、同じくLSHの開発に携わるGlobalLogicのAssociate Vice President, TechnologyであるVikas Manglaが紹介します。
*1: ユースケース、ソリューション、プロダクト、サービス、ソフトウェア資産、技術ナレッジ、そしてシステムアーキテクチャーを含む各種ナレッジ

社内のアセットを有効活用するための課題

日立ではLSHを通じてアセットの共有・活用を進めてきましたが、その過程にはどのような課題があったのでしょうか?

西脇

画像1: 日立が切り拓くアセット活用の新時代
~コミュニティを活用した生成 AI の知識共有とビジネス成長~

デジタルエンジニアリングビジネスユニットのChief Lumada Business Officerの西脇です。
LSHへのアセット登録は、2019年から日立グループの全社施策で進められてきました。デジタルを活用したさまざまな業種・業務のソリューションやナレッジ、ユースケースなど、すでに1,000件を超えるアセットがLSHに蓄積されています。
登録された個々のアセットをバラバラに見せるのではなく、業種・分野ごとに集約・整理したことで、同じ業種内ではアセット活用が進んできました。一方で、異なる業種でのアセット活用については、いくつかの課題が生じていました。LSHに登録されたアセットは特定の業種向けに最適化されたものが多く、別の業種で活用しようとすると、個別のカスタマイズや部分的な切り出しが必要になります。利用者からは、「お客さまの要件や制約に合わせるための具体的な相談に個別にのってくれる人を紹介してほしい」、「技術的なアドバイスが欲しい」などの要望が寄せられていました。
加えて、日立グループでは、生成AIをはじめとした新たなアセットも積極的に利活用しようとしています。日々進歩する最先端のテクノロジーにスピード感を持って対応していくことが必要です。
そのため、アセット活用をさらに促進するためには「アセットを所有している有識者や、専門家とインタラクティブに会話ができる」、「より深く技術的な話や、プログラムレベルやデータレベルでの議論ができる」、「誰でも気軽に参加できる」、これらがそろっている場を整備する必要があると考えていました。

倉田

画像2: 日立が切り拓くアセット活用の新時代
~コミュニティを活用した生成 AI の知識共有とビジネス成長~

LSHのグローバルテクニカルリードの倉田です。
利用者からの要望を耳にした頃に、GlobalLogicと対話する機会がちょうどあり、アセットの利活用の活性化に向けた日立の課題を相談しました。GlobalLogicのメンバーからは、「誰かが一方通行でモノを載せただけでは使われない」「業界スタンダードなのか、社内での支援があるのかが分からないと、使う動機が生まれない」などの意見をもらい、アセットを利用するユーザー側の視点の気付きを得られました。また、アセットを載せる提供側の視点として、「アセットを使ってもらうことで、社内でテクノロジーに対する知見がたまり、育つ」「再利用回数が増えることで、アセットに対するコミットメントができる」などの意見をもらいました。これは、アセット自体のバリューも上げていくという、LSHの元々の方向性とも親和性が高いと感じました。

Vikas

画像3: 日立が切り拓くアセット活用の新時代
~コミュニティを活用した生成 AI の知識共有とビジネス成長~

GlobalLogicのAssociate Vice President,TechnologyのVikasです。
GlobalLogicでも、KMPFと同様のナレッジ管理基盤「GL Practices Portal」の社内運用を2016年から開始していて、これまで日立と同じような課題に対応してきました。2024年3月時点で14分野のコミュニティがあり、エンジニア、プリセールス、デリバリーチームなどさまざまな立場から情報交換・議論が行われています。
例えば、生成AIなどの新しいテクノロジーを取り入れる際、エンジニアはサンプルアプリケーションやプロトタイプなどを作って、日々試行しています。新しいテクノロジーに取り組んでいれば、当然、次々に課題が生じてきます。1人のエンジニアが得た知見がGL Practices Portalで共有されることで、他のエンジニアも学びを得られ、自分の業務に生かすことができます。
また、プリセールスやセールスの担当者は、お客さまへの提案に同行して技術や製品を説明してくれる専門家や、すぐに導入できるツールやアセットを探しています。お客さまが市場に商品を早く投入できれば、私たちのビジネス価値を向上できます。

活きたコミュニティにするための工夫

そのような「活きたコミュニティ」を実現するために、GlobalLogicでは、どのような工夫をしてきましたか?

Vikas

私は、4年前の2020年にGL Practices Portalの開発に参画しました。GL Practices Portalは、当初から、社内で知識・経験を共有し、技術獲得やイノベーションの創出を進めるというビジョンを持って開発されました。そして、コミュニケーション基盤としてだけではなく、人事システムや営業システムなど社内システムとの統合に合わせて、人財情報の管理の仕組みや、アセットがより多く登録・活用されるための仕掛けの検討など、組織進化や技術進歩に先回りしながら機能面と運用面で改善を加えてきました。
GlobalLogicのメンバーは、GL Practices Portalを通じて、自らの試行錯誤や失敗も含め、そこから得た学びなどを積極的に発信しています。発信によって、自分が主体的・能動的に考え取り組んでいることを周囲にアピールでき、自分のスキルや知識、成果を示す機会にもなります。さらに、発信すると、その分野の専門家からアドバイスやサポートを得られるので、自分の取り組みを加速できるメリットもあります。
そうした知識共有や技術交流を奨励するため、社内表彰制度も作りました。GL Practices Portalで有益な情報を発信したメンバーに対して、事業貢献への感謝を伝え、「表彰」の形で社内インセンティブを与えています。企業としても、GL Practices Portalの導入を通じて、企業理念や行動指針を浸透させることができ、従業員の経験知とエンゲージメントを高めることができています。

倉田

課題ベースでゼロからKMPFを検討・開発していたら、ここまで到達するまで何年も掛かったと思います。GlobalLogicでの気づきを、我々は得られなかった可能性さえあります。ですから、GlobalLogicですでに得られている知見や示唆を積極的に取り込み、日立向けのナレッジ管理基盤として再定義しました。
例えば、KMPFではアセットのフォロワー数を分析・可視化しています。登録からしばらく経っているにも関わらず、あまり使われていないアセットを、自分のプロジェクトで採用したいと思うことはないですよね。フォロワー数が多いことは注目されている証になりますから、利用状況を可視化する仕掛けは機能しやすいと思います。
実際、生成AIのコミュニティではフォロワー数が増えるにつれて、参加者も増えています。生成AIのコミュニティでは、実装方法やユースケースなど、実用的な情報交換が日々されています。生成AIを生業としている人の間での議論や、得られた成果、フィードバックなどが分かれば、生成AIを使う側にとっては「コミュニティに行けば、いろいろと分かる」と感じてもらえます。また、情報を発信した側にとっても、自分たちが高い知見・技術を持っていることを示せるため、ビジネスチャンスにもなります。
こうしたコミュニティ型のナレッジ管理基盤での知見・技術の共有を通じて、暗黙知の形式知化(データ化)が自然と加速しています。今後は生成AIにそれらを取り込むことで、メンバーが技を練磨でき、見聞を広げられる仕掛けの整備を進めていきます。日立のメンバーが専門性を研さんしていくことは、ビジネス環境の変化に即応したソリューションの提供、そしてお客さま自身のバリューアップにつながると私たちは考えています。

日立グループでKMPFの運用を開始するにあたり、深慮したことはありますか?

倉田

コミュニティでは、活発な情報交換・議論がなされることが重要です。一方で、ナレッジ管理基盤には、掲載されるアセットの正確性の担保や、コンプライアンスの遵守が求められます。また、新しいテクノロジーが次々に登場する状況では、日立グループとしてどれを取り入れ、どのように活用していくのかなどの指針も示す必要があります。

Vikas

KMPFは、モデレーターと呼ばれる専門家が、コミュニティに掲載されるアセットの品質管理を常に行ってくれる、ナレッジ管理のエコシステムだと言えます。
特に生成AIのような新しいテクノロジーにおいては、法務、セキュリティ、知的財産、プライバシー、コスト、品質保証などについて複合的な考慮が必要です。各分野の専門知識を持つモデレーターたちがアセットをレビューし、問題がないと判断されたものだけが公開されるようになっています。
KMPFは、社内に普及させるテクノロジーにガバナンスを掛けつつ、コミュニティでアセットを双方向に育てる仕掛けにしています。

倉田

このため、モデレーターは、それぞれの分野の技術や知見、自分の判断への責任を持てるスペシャリストが担っています。「発信された情報が正しいか判断する」などのリスクマネジメント、「公開された方法をベストプラクティスとする」などのガイドライン策定など、技術やアセットを育てていくことがモデレーターに課された役割とも言えます。

今後の展望

KMPFは、今後どのような活用が見込まれていますか?

倉田

海外のある日立グループ会社では、技術の標準化と継承を進めるためにKMPFの適用を計画しています。複数の企業を統合してできた会社なので、各社のナレッジやノウハウなどの無形・知財資産を棚卸・見える化することで、ガバナンスを強化しようとしています。また、お互いの強みや知見を把握できることで、事業シナジーと組織シナジーの最大化を狙っています。

西脇

日本では、熟練技術者の定年退職や労働力人口の減少に備え、企業間での業務連携・提携が加速するでしょう。企業活動のグローバル化も進みます。また、企業経営では、DEIへの対応として、ユーザー一人ひとりに合ったサービス提供も必要になると考えています。
DEI:Diversity,Equity & Inclusion(多様性、公平性、包括性)

このように急速に変化するビジネス環境において、お客さまのニーズは、より多様化・複雑化しています。私たちには、お客さまそれぞれのニーズに対応したソリューションやサービスをタイムリーに提供することが期待されていますが、一方で一つのソリューションやサービスだけでお客さまのニーズに応えるのは難しくなっています。

そのため、今後日立はKMPFに集まったさまざまな業界ニーズ・技術ナレッジ・業務ナレッジをもとに、業種横断で利用できるアセットの開発・提供も新たに進めていきます。積極的なアセット活用によってシステム開発を高速化し、お客さまの事業に貢献していきます。

加えて、最近ではお客さまからも「自社でもナレッジ活用を進めたいが、日立ではどうしているのか?ノウハウを教えてほしい」とご相談いただくことが増え、日立の取り組みへの関心の高さを感じます。組織が大きくなると、「誰に聞けばよいか分からない」「情報を探せない」「最終的には個別最適に開発する」などの状況はどうしても生じてきます。日立で苦労していることが、日立以外の企業でも同様に課題になっていることが、お客さまとの対話からもうかがえます。

日立にとってGlobalLogicでの試行錯誤が非常に参考になったのと同様に、お客さまにとっても私たちの取り組みは参考になるはずです。日立なら、アセット利活用やガバナンス強化などのお客さまの業務整備と、環境構築などのシステム面の両方をサポートできます。ゼロベースで考えるのは時間も掛かります。日立の取り組みをたたき台に、お客さまとディスカッションさせていただき、アセット利活用やガバナンス強化のための協創のスタートラインに立たせていただければと思います。日立は、お客さまの良き相談相手となり、課題解決や企業成長を伴走型でご支援できると考えています。

画像4: 日立が切り拓くアセット活用の新時代
~コミュニティを活用した生成 AI の知識共有とビジネス成長~

西脇 康人
株式会社 日立製作所 アプリケーションサービス事業部 事業主管
デジタルエンジニアリングビジネスユニット Chief Lumada Business Officer
入社後は、産業系のシステム開発に従事。その後、アジャイル開発やAIサービスの立ち上げに携わる。2023年より、Chief Lumada Business OfficerとしてLumada Solution Hubをはじめとするデジタル事業をリードしている。

画像5: 日立が切り拓くアセット活用の新時代
~コミュニティを活用した生成 AI の知識共有とビジネス成長~

倉田 糧輔
株式会社 日立製作所 アプリケーションサービス事業部
Lumada共通技術開発本部 担当部長
入社後は、国内向けおよび海外向けの通信システムの研究開発・製品化や海外での事業開発に従事。2022年より、Lumada Solution Hubのグローバルテクニカルリードとして、社内ナレッジ管理基盤の開発や、日立グループやお客さまのナレッジ利活用の支援を行っている。

画像6: 日立が切り拓くアセット活用の新時代
~コミュニティを活用した生成 AI の知識共有とビジネス成長~

Vikas Mangla
CAPS Group, GlobalLogic Inc.
入社後は、デジタル変革リーダーとして13年にわたり、さまざまな業界のトップ企業にデジタル変革プログラムを提供。現在は、CTOオフィスの一員として、Knowledge Management Platform(KMPF)やGlobalLogicのデジタルアクセラレーターのガバナンス戦略を含むキーイニシアチブを推進している。

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