株式会社 日立製作所(以下、日立)のトップデータサイエンティストを結集したLumada Data Science Lab. *1 に所属する本美元伸(以下、本美)が、世界的なデータ分析のコンペティションプラットフォーム「Kaggle(カグル)」で2024年3月24日~6月4日まで開催された「Image Matching Challenge 2024 - Hexathlon」(以下、本コンペ)に単独で参加し、全927チーム1,157人中、8位のゴールドメダル *2 を獲得しました。
本コンペの成果によりKaggle Competitions Masterの条件を満たしたことで、競技中に他の参加者へ積極的にソースコードを共有することで認定されるKaggle Notebooks Masterの称号 *3 に続き、2つめのKaggle Master *4 を獲得しました。
本コンペは、コンピュータービジョン *5 分野で大きな影響力をもつ国際会議「Computer Vision and Pattern Recognition」のワークショップのひとつとして行われ、2022年以降Kaggleのプラットフォーム上で毎年開催されています。
今年は、さまざまな角度から撮影された約1,000枚の世界遺産や史跡などランドマークの2D画像から、撮影されたカメラの位置や向きを推定して3Dシーンを再構築する画像認識AIモデルの開発がテーマで、その性能を競い合いました。今回、バリエーションに富んだ、より実分野に近いデータセットが提供され、「Hexathlon (六種競技)」という名称のとおり、一般にカメラ推定が難しいとされる年代、昼夜、地上撮影/ドローンによる空撮画像、周期パターンによる遠近感、雪や植物といった自然物、透明なガラスの反射などの6つの要素が混在したデータをAIに学習させることが求められ、昨年よりチャレンジングな内容でした。本美は、画像認識モデルの認識率を向上させる画像変換技術や、カメラのレンズ特性を考慮した再構築処理を活用することで、精度の高い空間表現を実現させました。
本コンペの詳細は以下からご覧いただけます。
Image Matching Challenge 2024 - Hexathlon | Kaggle
Lumada DataScience Lab.では、データ分析技術の向上のためにKaggleなどのコンペティションへの参加を推奨しています。今後も、データとテクノロジーで新たな価値を創出し、社会やお客さまのさまざまな課題を解決できるよう、優れたデータサイエンティストの育成・技術力強化に積極的に取り組んでいきます。
*1 日立が有する幅広い業種・業務の専門的知見やノウハウ、人財、先端技術を活用し、より複雑で高度なお客さまの課題に応え、Lumadaによるデジタルイノベーションを加速させるAI・アナリティクス分野の中核組織。
*2 コンペの参加チーム数に応じて金メダルを獲得できるチーム数が変わり、250チーム未満の場合は上位10チーム、250チーム以上の場合は上位10チーム+0.2%に与えられる。今回のコンペでは、上位11チームに金メダルが付与された。 Kaggle Progression System | Kaggle
*3 2023年11月に医療画像から6種類のがんを診断するコンペで獲得。
UBC Ovarian Cancer Subtype Classification and Outlier Detection (UBC-OCEAN) | Kaggle
*4 メダルの獲得枚数に応じてランクが決定し、Kaggle Masterになるためには、金メダル1枚と銀メダル2枚を獲得する必要がある。2024年6月現在でKaggleの登録者数は全世界で20万人以上で、Kaggle Masterはそのうちの約2100人(約1%)と到達の難しい称号である。Rankings | Kaggle
*5 コンピューターが画像や動画などから視覚的な情報を導き出す人工知能(AI)の分野。
本美 元伸(ほんみ もとのぶ)プロフィール
株式会社日立製作所
デジタルエンジニアリングビジネスユニット
Data & Design Data Studio
2019年に日立製作所へ入社。前職では半導体製造製品の機械学習エンジニアとしてアプリケーション開発を担当。現在は社会インフラ(電力など)や建設業界の顧客に向けたデータサイエンティスト業務に従事。専門分野は画像処理や生成AI。