私たちの生活やビジネス、あるいは業務のあり方を大きく変えようとしている生成AI。今後、生成 AI は、私たちの「相棒的な存在」や「日常生活の必需品」になる可能性を秘めています。
「教えて!あなたの生成 AI 活用術」シリーズは、生成AIを業務やプライベートで利用している日立の従業員が、創造力と技術力を生かし、おすすめの活用方法やアイデア、今後の可能性について、具体的なユースケースやエピソードとともに紹介する連載企画です。
今回は、デジタルシステム&サービスセクターの営業統括本部で生成AI徹底活用プロジェクトの取りまとめを務める大山 友和さんの活用術を紹介します。計1,600名以上が参加した営業部門向け説明会やワークショップの企画、220件超えのユースケースやプロンプトを共有する社内向け生成AI活用支援サイトの立ち上げ、営業メンバーが実業務における生成AIの活用事例をリレー方式で紹介する社内SNSコミュニティーの運営など、生成AIを徹底的に使いこなして業務の生産性と品質を向上させるための啓蒙活動を精力的に行っている大山さんから、仕事からプライベートまで生成AIの活用術を幅広く紹介します。
(本記事は、2024/7/11に寄稿された内容です)
大山 友和(Tomokazu Oyama)
株式会社 日立製作所
デジタルシステム&サービス営業統括本部 Executive Strategy Unit
<profile>
2001年、日立製作所入社。コンサルティング部門にて、営業業務改革、新規事業の立上げなどに従事。2006年、日立コンサルティングにて、基幹業務システム構築などに従事。プロジェクトリーダーとして、システム企画・構築・運用全般を統括その後、営業バックオフィスを支える業務システム全般を統括。現在、営業部門の生成AI徹底活用プロジェクトの取りまとめとして、講演活動、ナレッジ蓄積、社内コミュニティー運営、人材育成などの取組みを推進中。
生成AI を使い始めたきっかけと時期、また利用頻度はどのくらいですか?
23年の4月頃から、BBQ計画立案や家族旅行の旅程策定などに利用していました。無人島「猿島」でBBQをするにあたり、どこで買出しをして、何時の船に乗り、島ではどのような過ごし方をするか、具体的なタイムテーブルを生成AIに作成してもらいました。また、その案内文も作成してもらいました。
家族旅行では、沖縄3泊4日、離島のツアーを含めたモデルコースを複数提示してもらいました。その中に「ナガンヌ島」という那覇から高速船を使うと20分で行ける無人島のツアーがありました。生成AIはリサーチ業務を効率的に行うことができるうえ、思いがけない発見もあり大変重宝しています。この2つのエピソードだけ紹介すると無人島好きのように見えますね。たまたまです。
生成AI をどのような用途で活用していますか?
生成AIは、仕事もプライベートでもさまざまな用途でほぼ毎日利用しています。
日常業務の活用例:ワークショップの企画づくり
主に3つの用途でMicrosoft365 Copilot、日立社内GPT利用環境「Effibot」、無料版 Gemini、無料版Claude3を利用しています。
1.業務の悩み相談
2.アイデア出し/アイデアの深掘り
3.企画のイメージ画像作成
事例の一つとして、営業向け生成AIワークショップの企画づくりを紹介したいと思います。以下は、実際の生成AIワークショップの企画資料です。生成AIと壁打ちしながら企画したもので、スライドに書いているコンテンツは、9割生成AIで作成しています。私が修正したところは、日付や文章表現が少しずれているところを見直した程度です。その他にも、ワークショップの具体的な企画・推進に必要な、企画書や計画書の作成、関係者への依頼メール文章の作成など、一連の作業にも生成AIを使うことで、1時間ほどでできてしまいました。
こうした生成AIを活用した企画書・計画書の作成手順書に加えて、アンケート分析、顧客情報のリサーチ方法などをマニュアルにまとめ、社内に共有しています。
最新作の「エグゼクティブの一日」では、忙しい経営陣のトップが生成AIを日常業務の手助けとしてどのように効率的に活用しているかを取り上げたユースケースを紹介していますので、気になる方はぜひご覧ください!
プライベートの活用例:財務分析レポートの作成
会計士の友人から生成AIで何ができるか教えて欲しいとの依頼を受け、財務分析レポートを作成できることを伝えたところ、試しに作ってほしいと言われました。早速、無料版Claude3を使って作成したところ、企業概況・損益分析・効率性・健全性・同業他社比較などを含めたレポートが30分ほどで完成しました。友人はそのレポート作成の速さと品質の高さに驚き、実際に財務分析レポートの対象顧客の社長にそのレポートを見せたそうです。その結果なんと、その社長はレポートを生成AIが作成したとは知らずに「このレポートを作成した方に弊社のコンサルをお願いしたい」と頼まれたそうです(笑)
生成AI を活用するメリットをどのように感じていますか?
悩んでいる時間を生成AIとの壁打ちの時間にすることで、多くのアイデアを得ることができるようになった点です。また、そのアイデアを深掘りするためのプロンプトを駆使することで、資料のベース作成を高速で行うことができるようになり、今では生成AIは優秀な仕事のパートナーです。
今後、どのように生成AI を活用していきたいですか?
2023年の「お勉強モード」から、2024年は「より実践的に生成AIを業務に活用する段階」に入っています。
「2023年は当社も、世の中全体も「お勉強モード」が強く、2024年もまだその感覚を引きずっていると思っています。(中略)ここからは、実際にどう活用できるか、真剣に取り組む段階です。」日立製作所 Generative AIセンター 吉田センター長
私は営業向けに生成AIを活用促進するミッションを担っています。「DX・AIを知る/慣れる/使う」をキーワードに、生成AIを知ってもらうための普及活動を1年以上にわたり積極的に行ってきました。生成AIを活用してワークショップ企画を立ち上げたことで、多くの関係者と連携して業務を推進できるようになりました。このように生成AIを徹底的に活用していく企業文化を醸成することで、生産性向上と品質向上を両立させて、事業に貢献していきたいと考えています。
関連リンク
※記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。