ハンズフリーチケッティングサービスを活用し、安全安心な地方公共交通利用を促進
つくば市、筑波大学、つくばスマートシティ協議会、関東鉄道、今川商事、日立製作所から構成されるつくばハンズフリーチケッティング共同事業体は、障がい者の生活自立支援と安全安心な地方公共交通利用の促進を目的とした医療 MaaS*1 実証実験を 2025 年 1 月 22 日から実施する。
具体的には、つくば市の医療・健康支援施設に通う障がい者を対象に、目的の施設まで公共交通機
関を利用した安全安心な移動を実現するため、ハンズフリーチケッティングサービスを利用いただき、その有用性を検証する。これにより、ご家族による送迎負担の軽減と利用者の安全の確保を両立し、さらに、利用履歴に基づいた料金の決済、および割引の適用により地方公共交通の利便性を向上する。
今後、本事業体は障がい者が自立的に移動できる仕組みの実現をめざし、産官学連携で地域公共
交通ネットワークの形成・発展に貢献していく。
*1 MaaS:Mobility as a Service の略。デジタル技術の活用により、さまざまな交通手段による移動を一つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ移動の概念。
背景
障がい者の自立支援においては、移動機会の創出や移動の促進が重要。一方で、障がい者の移動においてはご家族の送迎や付き添いが必要なケースや、移動することへの心理的なハードルが高いケースがあり、障がい者の公共交通機関の利用促進と、安全安心に地方公共交通を利用できる仕組みづくりの両立が求められている。
つくば市ではつくばスーパーサイエンスシティ構想を掲げ、必要なとき、必要な場所へあらゆる移動手段を提供する「つくばスマートモビリティ」の実現に向けた取り組みを実施している。取り組みの一つとして、2023 年度は、ハンズフリーチケッティングの実装に必要な環境の確認、無線装置(ビーコン)を活用した移動データ生成の検証を目的に、スマートフォンアプリを活用した実証実験*2 を行った。
2024 年度は、移動データに基づいた公共交通機関の利用と、施設の利用における料金計算、決済システム連携による事後払いまでを含めた仕組みの検証と、ご家族と施設職員の介助負担を軽減する見守りサービスの有用性の検証を目的とした実証実験を実施する。
*2 つくば市 2024 年 1 月 22 日 お知らせ
本実証の概要
- 日程:2025年1月22日(水)、1月25日(土)、1月29日(水)、2月12日(水)の合計4日間
- 参加者:MDC会員*3のうち本実証への参加に同意*4いただいた方
- 対象の公共交通機関:関東鉄道が運行する路線バス
- 実証対象の移動範囲:参加者の自宅最寄りのバス停から筑波大学附属病院の健康・スポーツ科学センター「WIT」*5までの往復(バス停からWITまでの公道等を含む)
- 実証の流れ:参加者は最寄りのバス停からWITに移動する際の関東鉄道バスに、整理券の発券やICカードのタッチをすることなく乗車できます。実証実験参加者であることの確認のため、バス降車時とWIT利用時に、スマートフォンアプリの画面を提示することで、バスの乗車とWIT利用の事後決済が可能になります。往復共にバスを利用いただいた場合、WIT利用料の引き落とし時に割引を自動で適用します。また、参加者のご家族やWIT職員は、参加者のスマートフォンの無線装置(ビーコン)の受信データに基づき、リアルタイムで移動位置を確認できるため、離れている場所からでも安心して見守りができます。
*3 筑波大学澤江准教授が代表を務める、知的障害・発達障害のある若者向けに余暇活動・スポ ー ツ活動を支援する団体(https://ulura.jimdofree.com/fspontetsukuba/youthmdc/)
*4 参加者およびご家族には事前説明のうえ、本実証における個人情報の提供に関して許諾をいただいています。
*5 筑波大学附属病院の桐の葉モールにある、今川商事が運営する健康・スポーツ科学センター。(https://wit-tsukuba.com/ja)
各事業者の役割
- つくば市:事業全体調整、つくばスーパーサイエンスシティ構想など他施策との連携
- 筑波大学:運行実証全体調整、運行実証の評価、収集データに基づく共創プラットフォームとしての活動指針の検討
- つくばスマートシティ協議会:つくばスマートモビリティの普及促進、ハンズフリーチケッティングの事業モデル検討
- 関東鉄道:路線バスなどにおける運行実証、乗務員の乗客管理など、業務運用の検証
- 今川商事:健康・スポーツ科学センターWIT における運行実証、利用者管理など、施設管理の業務運用の検証
- 日立:ハンズフリーチケッティングシステムの開発、運行実証の支援
今後の展開
本実証の成果を踏まえ、本事業体はハンズフリー乗車/決済の対象となる施設やサービス、および移動手段となる公共交通機関を拡大し、利便性の高い交通サービスの実装をめざし、取り組みを加速していく。今後も本事業体は、地方公共交通の利用促進により、必要なとき、必要な場所へあらゆる移動手段を提供する社会の実現に向けて産官学連携で各施策を推進していく。