また、実行機能の強化として、データセンターのIT運用・サービスをワンストップに対応できる体制を構築するため、これまで日立、日立システムズ および 日立インフォメーションエンジニアリング が、3社で連携・展開してきたデータセンターサービス事業を、2025年4月1日付で日立システムズに統合する。統合後はセキュアで高信頼なIT運用で1,200社以上の実績を有する日立システムズに、1,500名のプロフェッショナルなデータセンター関連エンジニアを結集することで、データセンターのファシリティ設計・管理からIT運用、グリーンなファシリティサービスまで End to End で提供することが可能になる。
今後、日立グループはデータセンター事業を継続的に強化しながら、顧客のDX加速による事業成長と世界的なGXのニーズの双方に対応するグリーンデータセンターを実現し、サステナブルな社会の発展に貢献していく。
背景
昨今、顧客ではDX加速のために、クラウドサービスや生成AIの利用が急拡大しており、日立は戦略策定からLLMなどの構築・運用*1、AI基盤向けインフラ*2 まで多様な生成AIのオファリングを提供している。このような生成AIの普及拡大に伴い、データセンターの電力消費量は、2022年に460テラWhから 2026年1000テラWhへと拡大傾向にある*3。このような需要の高まりにより、データセンターが扱うデータ量は拡大を続けており、新しい冷却方式など優れたファシリティによる環境負荷低減、よりセキュアで高信頼なIT運用やデータマネジメントなどの強化が求められている。
*1: ニュースリリース「生成AIの本格的な業務活用に向け、「業務特化型LLM構築・運用サービス」を提供開始」
*2: ニュースリリース「日立ヴァンタラが、企業のAI対応を支援する「Hitachi iQ」を販売開始」
*3: 出典:IEA Electricity2024
グリーンデータセンター実現に向けて
日立は、日立グループが有する再生可能エネルギーの発電から送電・蓄電の技術・ノウハウ、エネルギーマネジメント、冷却装置などのファシリティ、ITインフラ/サービスなど多様なソリューションを最適に組み合わせ、それらをトータルに運用・管理するマネジメントシステムを構築することで、環境負荷低減を実現するグリーンエネルギー活用に根差したデータセンター事業の推進をめざす。
今後、日立は、グリーンデータセンター実現の実践ノウハウをもとにデータセンターのリファレンスモデルを確立し、顧客にもニーズにあわせて提供していく。
データセンターサービスの強化について
データセンターサービスは、データセンターを利用し提供されるハウジングやホスティング、データバックアップ、災害復旧、ネットワーク・セキュリティ管理やIT運用など多岐にわたる機能や柔軟性が求められるサービス群であり、生成AI活用の拡大にともない、エネルギー効率の向上による環境への配慮やセキュリティの強化など迅速かつ柔軟な対応が求められている。日立および日立インフォメーションエンジニアリングが岡山および横浜のデータセンターにおいて提供してきた高度な設備の運用・管理による高品質なデータセンターサービス事業と、IT運用に強みを持つ日立システムズのデータセンターサービス事業を統合することにより、生成AIをはじめとする最先端ITへの柔軟な対応を強化する。この統合により、日立インフォメーションエンジニアリングは日立システムズに合併される。今後、日立システムズが、国内で運用管理する日立グループのデータセンターすべてを取りまとめ、体系化したマネージドサービス群「Hitachi Systems Managed Services」の中で、セキュリティ、クラウド・ネットワーク、コンタクトセンター&BPOなどと一体でサービスを強化し、提供していく。
1.セキュアで高信頼なIT運用
自治体400団体以上におけるガバメントクラウドへの円滑な移行・運用の実績や、50年以上にわたる金融機関などグローバル企業の経営基盤のIT運用・監視で培った知見に基づき、データセンターとクラウドにまたがるハイブリッドクラウド環境において、安全にデータを活用できるセキュアで信頼性の高いサービスを提供する。生成AI基盤のような特殊な環境に対しても、稼働監視やハードウェア保守、セキュリティ対策などシステム維持に必要なサービスをワンストップで提供することで、顧客は複雑なIT運用の負荷が軽減され、本業へ集中することが可能になる。
2.グリーンなファシリティサービス提供
日立グループでは、2027年度までに全てのデータセンターにおいてCO2排出量を実質100%削減するカーボンニュートラル達成の目標を策定している。その中で取り組んできたデータセンター敷地内にソーラーパネルを設置するオンサイトPPA*4 の導入ノウハウや日立が提供する環境ソリューションの活用により、グリーンなデータセンターファシリティサービスを提供する。さらに、日立が長年、スーパーコンピュータやサーバーの事業で培ってきた効率的に発熱を冷却する技術により、空冷よりも冷却能力が優れる液冷方式の導入を実現し、高効率かつコンパクトで万一の停電時にも短時間で再起動可能な空調設備の開発などファシリティ設計・管理の豊富な知見を活用することで、高密度・高発熱型の生成AI向けデータセンターへ対応していく。
*4: Power Purchase Agreement:発電事業者(PPA 事業者)と需要家の自家発電型の電力購入契約