CES2026は、日立のフィジカルAIのケイパビリティをアピールする最高の舞台だった
なぜ日立にとって、CES2026への参画が重要なのでしょうか?
日立にとって、CESへの参画は非常に大きな意味を持っていると思います。まずはCESというイベントについておさらいしましょう。CESの歴史は長く、1960年代に始まったとされています。当初は家電の新製品を発表するイベントでしたが、今や世界中の名だたる企業が集まり、AI、モビリティ、ロボティクス、ヘルスケアなど、あらゆる分野の最先端のテクノロジーを発表する場となっています。そして、今年のCES2026は特に、「フィジカルAI」がキーワードだったと感じています。
私たちは、AIやメタバースをはじめとしたデジタルケイパビリティを有しているだけでなく、鉄道、エネルギー、製造業に代表されるOT(Operational Technology)の領域におけるノウハウや経験、ドメインナレッジを豊富に持っていて、フィジカルAIに強みを持つユニークな企業です。CES2026のキーワード、注目分野と私たちの強みや戦略が合致しており、グローバルのお客さま、投資家などのステークホルダーに日立のフィジカルAIをアピールする最高の舞台だったと感じています。

Hitachi Digitalにて、グローバルイベント施策を推進するShamik Mehta氏
6つのZoneで表現した“日立の現在と未来” ― 展示の全体像
CES2026において、日立はどのような形で参画したのでしょうか。ポイントを教えてください。
今回の日立ブースでは、モビリティ、エネルギー、イノベーション、産業の未来を垣間見せる6つのZoneを通じてソリューションを紹介しました。ここには、日立のフィジカルAIを象徴するソリューションであるHMAXも含まれており、来場者の皆さんには、日立がどのように「フィジカルAI」を現実世界で活用しているのかをしっかり体験していただけたと思います。
Zone 1ではAIソリューション群HMAXを展示し、電力網の再構築や製造・モビリティの高度化など、AIが産業をどう変革しているかを示しました。Zone 2はエネルギーで、安定した環境に優しい電力供給を実現するソリューションを紹介し、インフラの監視やリソースの最適化、停電の防止といった重要な技術をご覧いただきました。Zone 3のモビリティ では、最新の電動化ソリューションを通じて、交通インフラの管理の自動化やエネルギー消費・排出ガスの低減、乗客体験の向上を紹介しました。Zone 4 はデータ、AI、デジタルで、インテリジェントなソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)やクラウドベースのAIソリューションなど、デジタル技術の進化がもたらす価値をお見せしました。Zone 5の産業オートメーションでは、未来の工場をテーマに、最先端の産業オートメーションソリューションやスマートビルディングの展示を行いました。Zone 6のR&Dは、AIを活用したフロントラインワーカー支援や製造ラインの自動化・自律化など、未来に向けた研究開発の取り組みを紹介するゾーンです。さらに、イノベーションシアターでは、日立グループ各社やパートナー企業によるプレゼンテーションを行い、画期的なアイデアや変革をもたらすソリューションの最前線をお届けしました。

CES期間中は、有名企業を中心に展示を回るツアーが行われており、日立ブースではShamikさんが展示についての説明を担当されていましたね。説明を聞いた方々の反応はどうでしたか?
CES期間中は7回ほどツアーを実施しました。各ツアーでは、最初に「日立のことを知っている人?」と尋ねるようにしていましたが、日立のことを知らない人も多かった印象ですね。もしくは、知っていても家電のイメージがある人が多かったと思います。そのため、まずは日立の100年以上の歴史と、主な事業領域(鉄道、電力、コネクティブインダストリーズ、デジタルなど)について説明するようにしていました。先程説明した日立の展示6つのZoneを説明して回ると、ツアー参加者からは「日立がこんなに幅広い領域でビジネスを行っているなんて知らなかった」、「日立はAIを活用するだけではなく、データセンター基盤も自前で構築しているとは驚いた」などのコメントをいただきました。日立は、幅広い事業領域を持っており、それだけでなく、領域ごとに深いノウハウ、経験を有しています。ブースツアーでは、日立のそんなユニークな総合力を存分にアピールできたと思います。

ブースツアーにて、日立の展示の説明を行うShamik氏
日立 × NVIDIA が語った「フィジカルAIの最前線」 ― Foundry Sessionレポート
今年から始まったFoundry Sessionにおける、日立とNVIDIAの講演について教えてください。
今年のFoundry Sessionは、日立とNVIDIAが共同でフィジカルAIの最前線を紹介する、とても重要な場になりました。登壇したのは、Hitachi DigitalのCMOであるArya Bariraniと、NVIDIAのEdge AI & Roboticsを率いるDeepu Talla氏で、会場は満席。フィジカルAIに対する期待値の高さを肌で感じました。
※講演(英語)はこちらから⇒Pioneering AI Technologies for the Physical World, presented by Hitachi
講演ではまず、フィジカルAIとは“物理世界を知覚し、推論し、行動するAI”であり、生成AIとは全く異なる領域であることを説明しました。鉄道や電力といった社会インフラは安全性が最優先で、AIの誤差が重大事故につながる可能性があります。そのため、HMAXでは膨大な現場データに加え、異常データが少ないという課題を補うためにシミュレーションやSynthetic Dataを活用し、モデル精度を高めています。NVIDIAとは、特にエッジAIの領域で深く協力しています。例えば鉄道の領域では、NVIDIAの産業グレードのエッジコンピューティング基盤とHMAXを組み合わせることで、列車そのものが“巨大なロボット”のように自ら状態を判断し、リアルタイムに予兆保守を行えるようになってきています。これは従来の「デポに戻って解析する」という発想を大きく変える取り組みで、業界全体のメンテナンスの在り方を一変させる可能性があります。
講演では他にも、工場の現場作業者の支援、バイオリアクターのプロセス最適化、電力網の高度監視と最適化など、HMAXがもたらす具体的な成果を紹介しました。特にバイオ分野では、AIによって細胞培養のスケールアップ期間を30%短縮できるなど、社会的価値の高い成果が出始めています。Deepu氏からは、「これからのすべての企業がフィジカルAIとロボティクスを活用するようになる」という力強いメッセージがありました。彼はフィジカルAIには“3つのコンピュータ”(AIを訓練するコンピュータ、シミュレーションするコンピュータ、現場で動かすエッジコンピュータ)が不可欠であり、NVIDIAはそのすべてを支える技術を提供していると説明しました。今回のFoundry Sessionは、日立とNVIDIAが互いの強みを補完しながら、フィジカルAIという新しい領域でどう社会インフラを変革していくか──その未来を来場者に強く感じてもらえた機会になったと思います。

Foundry Sessionの様子。Hitachi America/Hitachi Digital CMOのArya Barirani氏と、NVIDIAのDeepu Talla氏が登壇した。
あらゆる領域で、フィジカルAIによる新たな価値創造に挑戦していく
最後に、グローバルのお客さま、パートナーに向けてのメッセージをお願いします。
日立は、単に先進的なAIを提供する企業ではありません。鉄道、エネルギー、製造など、社会を支えるインフラを自ら設計し、構築し、運用してきた実業の経験があります。その現場で直面するリアルな課題に向き合い続け、必要に応じてAIを適用しながら解決してきた──この“実践知”こそが日立の最大の強みです。このように、AIなどの最先端のデジタル技術と、現場で培ってきた運用・制御技術(OT)の両方を深く理解している企業は、世界的にも多くはありません。HMAXはその象徴であり、日立はフィジカルAIによって、これまで解決が難しいとされてきた産業・社会の課題に真正面から挑むことができます。もし、御社が今まさに複雑な課題に直面しているのであれば、ぜひ日立にご相談ください。エネルギー、モビリティ、インダストリー、デジタル──どの領域であっても、日立ならきっとお役に立てると信じています。これからも私たちは、お客さま、そしてパートナーの皆さまと共に、フィジカルAIによる新たな価値創造に挑戦し続けていきます。

関連リンク
Pioneering AI Technologies for the Physical World, presented by Hitachi




