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日立製作所(以下、日立)は、金融・交通・電力といった社会インフラを支えるミッションクリティカルな基幹システムの安定性を維持しながら、オンライントランザクション処理(OLTP)*1の既存アプリケーションのモダナイズを加速する新サービスを10月23日より提供開始する。
近年、クラウドを活用し基幹システムのモダナイズに取り組む企業が増えている。しかし、リアルタイムな金融取引などに利用されるOLTPへクラウドネイティブ技術の一つであるマイクロサービス*2を適用することは、技術的な難易度が高く、モダナイズの障壁となっていた。
今回、マイクロサービスのOLTPの一貫性を確保する「Hitachi Microservices Platform - Paxos Commit Transaction Orchestrator」(以下、HMP-PCTO)を提供開始し、レガシーアプリケーション資産とクラウドネイティブ技術が混在するハイブリッドクラウド環境の信頼性を強化*3していく。これにより、大規模なOLTPであっても、小規模な処理ごとに段階的なマイクロサービス化が可能となり、基幹システムの安定性を維持しながらモダナイズを加速し、柔軟な業務改善を早期に実現できる。また、社会環境や顧客ニーズの変化に対応する新たな業務サービスの立ち上げも迅速化し、競争力を向上することが可能である。
なお本サービスは、as a Service型ITプラットフォーム EverFlex from Hitachi*4の一つとして提供する。
日立は今後、生成AIによるレガシーアプリケーションのノウハウの継承など、基幹システムのモダナイズの課題を解決し、お客さまの持続的な成長に貢献していく。

特長

1. レガシーOLTPアプリケーションを継承しつつ、安全かつ着実に段階的なマイクロサービス化を実現

①マイクロサービスとレガシーシステムの間におけるトランザクション処理の一貫性を確保
リアルタイムな金融取引などに使われるOLTPでは、ACID*5を伴うデータ更新の信頼性が非常に重要であり、レガシーシステムではトランザクション制御の専用製品などで機能を実現している。しかし、マイクロサービスでは、アプリケーション開発者がトランザクション処理の業務ロジックだけでなく、更新の信頼性も検討する必要があり、その難しさがモダナイズの障壁となっていた。
HMP-PCTOでは、クラウド環境での通信分断に耐えられる信頼性*6のあるトランザクション制御機能を実現する。既存のミッションクリティカルなOLTP資産の一部をマイクロサービスに切り出した移行段階においても、システム全体のトランザクションの一貫性を確保し、基幹システムの安定性を維持できる*3

②COBOL*7などのユーザー資産を継承しながら段階的にマイクロサービス化し、業務改善を早期に実現
既存OLTPシステムに多く残るCOBOLなどのアプリケーション資産を、言語変換なしにマイクロサービス化することで、小規模で段階的なマイクロサービスの適用を促す*3。レガシー資産をJavaに一括変換するようなモダナイズ手法と比較し、業務サービス改善の効果が早期に得られる。同時に、安全かつ着実にモダナイズを進めることができる。なお、モダナイズの構想策定から環境構築・運用まで、日立の専門チームが支援することも可能である*8

2. 新たな業務サービスの立ち上げを迅速化

例えば、既存の金融取引とポイントサービスを連携したフィンテックサービスを立ち上げる場合などに、トランザクションの一貫性が必要になる場合がある。このような既存業務サービスのAPIと新たに開発する業務サービスの連携に、HMP-PCTOを利用することで、プログラムのコードが複雑になりがちなトランザクション制御のコーディングが不要となり、開発が容易となる。これにより、安定した業務サービスを迅速に立ち上げることができる。また、開発者がトランザクションを実装する方法を学習し、検証できるようにHMP-PCTO フリー版の提供を予定している。

[画像]新たな業務サービスの例
新たな業務サービスの例

さらに、「アセット活用開発支援ソリューション」*9やIT人財育成の支援メニューと組み合わせることで、業務サービス開発の内製化など、お客さまのデジタル変革を支援することもできる。

*1 トランザクションとは、関連する複数の処理を一体不可分の処理単位として扱うこと。OLTP(Online Transaction Processing)とは、多数のトランザクションを同時に実行するプログラムの総称
*2 マイクロサービスとは、ソフトウェアの構造(アーキテクチャ)および開発手法の一つで、独立した小さなサービスを組み合わせて構成する。従来のモノリシック(一枚岩)なアーキテクチャと比べ、部分的な修正が容易であり、拡張性と柔軟性が高い
*3 レガシーシステムとマイクロサービスをミドルウェア層で連携し、アプリケーションの互換性やデータ整合性を確保する機能を順次拡充予定
*4 ニュースリリース(2023年9月19日) 「as a Service型ITプラットフォームEverFlex from Hitachiの展開加速」
*5 ACID: トランザクションに求められる4つの特性Atomicity(不可分性)、Consistency (一貫性)、Isolation(独立性)、Durability"(耐久性)
*6 特許第7225298号「分散合意方法、分散システム及び分散合意プログラム」、関連特許を出願中
*7 1960年代から使われているプログラミング言語。金額計算などの事務処理に適し、メインフレームでもオープンシステムでも利用されている
*8 日立の「アプリケーションモダナイゼーションコンサルティング」などにより支援
*9 ニュースリリース(2023年8月23日)「Lumada Solution Hubで培ったアセット活用のノウハウをもとに、システム開発を効率化し、デジタル変革に伴走する新ソリューションを提供」

新サービス開発に至る日立の取り組み

日立は、メインフレームの黎明期から長年にわたり日本の金融・交通・電力などの社会インフラを支えるミッションクリティカルなシステムの構築・運用に携わってきた。メインフレームからオープンシステムへの移行期には、アプリケーションの互換性を維持したCOBOLや分散トランザクションマネージャー「uCosminexus Open TP1」などプラットフォームの違いを吸収するミドルウェア群を用い、多くの基幹システムのオープン化を支援してきた。また、クラウドネイティブなアプリケーション開発に必要なOSSベースのクラウドAPI管理ソリューションなどに加え、2022年より、マイクロサービス開発基盤の一つとして、GlobalLogicのフレームワークを日本向けに強化した「Hitachi Microservices Platform」*10を提供してきた。そして今回、ミッションクリティカルな基幹システムのアプリケーションをモダナイズするには、OLTPを安心かつ着実にマイクロサービス化する技術が必要であることから、サービス開発を行ってきた。

*10 ニュースリリース(2022年10月21日) 「エンタープライズシステムのアジリティ向上を支援するマイクロサービス開発基盤を提供開始」

関連サイト

Hitachi Microservices Platformのサイトはこちら

アプリケーションモダナイゼーションコンサルティングのサイトはこちら

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