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2024年4月19日から21日、東京都代々木公園で開催された東京レインボープライド(=Tokyo Rainbow Pride、以下TRP)に、株式会社日立製作所(以下、日立)が参加しました。TRPは、LGBTQIA+をはじめとするセクシュアル・マイノリティの存在を社会に広め、「”性”と”生”の多様性」を祝福するイベントとして2012年から開催されています。LGBTQIA+の当事者とその支援者(Ally)が旗や横断幕などのアイテムを持ってパレードに参加したり、ダンスや音楽などのさまざまなパフォーマンスを楽しんだり、それぞれが自由に自己表現をすることですべての人が差別や偏見にさらされることなくイキイキと生きていくことをめざすイベントです。
今回、日立は、初めてスポンサー企業として参加し、会場内の展示ボードやイベント公式ウェブサイト※1でDEIの取り組みを紹介しました。スポンサー参加に至るまでの裏側には、LGBTQIA+ ERG※2のみなさんの熱意と行動力がありました。今回は、その共同代表である横須賀光洋さん、宮腰陽菜さん、佐藤千文さんの3名にこのERGにかける想いやTRP2024への企業協賛に情熱を注いだ背景についてインタビューしました!

※1 株式会社日立製作所東京レインボープライド2024
※2 ERG:Employee Resource Groupの略。組織の中で共通する特性、価値観、目的を持つ社員が自主的に運営するグループ。日立では積極的にERG活動を支援しています。

LGBTQIA+ ERGの立ち上げ背景

佐藤さん
私は、2017年に日立グループである株式会社日立ソリューションズ(以下、日立ソリューションズ)でLGBTQIA+Allyのコミュニティを立ちあげ、共同代表の一人として活動していました。活動の活性化を考えていたタイミングで、日立グループ全体を対象としたERG活動を支援する取り組みをスタートすることを知りました。LGBTQIA+の活動を日立グループというより大きなフィールドで運営すれば、活動周知にもレバレッジを利かせることができる。また、日立ソリューションズという単独組織内での活動ではプライバシーの問題などで参加しにくかった人も参加しやすくなるのではないかと思ったこと、横須賀さんと宮腰さんという想いを持った方に出会ったことで、立ち上げメンバーになることを決意し、共に活動をスタートさせました。

●すべての性的指向・性自認は「一人ひとりが保有するアイデンティティの一つに過ぎない」ということを日立で働く全員が受容できる組織風土となるための活動をする
● 安心して力を発揮できる会社だということを社内外のステークホルダーにも知ってもらう活動をする

この2つを目的に、9人のコアメンバーと54人のフレンド※3で活動しています。

※3 2024年5月30日現在。コアメンバーは、活動をリードしていくメンバー。フレンドは、活動の意義に賛同し個人や職場で取り組んでみようと考えてくれる仲間。

活動にかける想い

(左から佐藤さん、横須賀さん、宮腰さん)

横須賀さん
私自身、LGBTQIA+の当事者(ゲイ)ですが、会社ではオープンにできずに過ごしてきました。日立グループで15年ほど働いてきましたが、私の身近にはLGBTQIA+への理解を促すような取り組みもなく、職場でカミングアウトしようと思える雰囲気ではありませんでした。一方、友人や家族には伝えているのに、職場のメンバーには共有できない状況にずっと違和感を覚えていました。そんな中、組織風土改革運動の推進担当として、DEIに関する活動にも携わる機会が増え、「ここで受け入れられなかったら自分の居場所はない!」と、思い切って職場のメンバーにカミングアウト。ほどなくしてLGBTQIA+の ERGが立ち上がることを知り、当事者視点で力になりたいという想いから、共同代表に立候補しました。活動の中で初めに着手したのは、カミングアウトする心の準備ができていない当事者も安心して参加できる心理的安全性のある環境の整備です。このERGへの参加はアウティング※4しないことを条件とするなどプライバシーを守るためのルールを決めました。以降、ERGの活動紹介や意見交換会などの社員向けイベントを積極的に行い、共感の輪を広げる活動をしています。

※4アウティング:本人の了解を得ずに性的指向や性自認を第三者に暴露すること

宮腰さん
私は当事者(トランスジェンダー)で、中学生まで生きづらさを抱えていました。高校在学中、就職活動を始めなければならい時期が迫るにつれ、この先何十年もずっと男性として企業に所属することへの抵抗感が強くなっていきました。日立への入社が決まったタイミングで「自分らしく生きよう」と決意し、人事の方など関係者に当事者であることをオープンにした上で、入社しました。自分の居場所がないと感じていた学生時代の経験から、会社では自分と同じような悩みを抱える人と一緒に居心地のよい空間を作りたいという想いで活動に参加しました。当事者がグループにいることで安心して活動に参加いただけると思っています。

佐藤さん
私は入社から数年間、女性は20代半ばで結婚するもの、子どもを産んだら会社を辞めるもの・・・など、当時のステレオタイプの女性像に飲み込まれ、働きづらさを抱えたまま仕事をしてきたことに後悔があります。その後、日立ソリューションズの女性活躍推進に業務として携わる機会があり、以降もライフワークとして取り組んできました。ジェンダーが理由で活躍の機会が得られないことは本人にとっても会社にとってももったいないこと。LGBTQIA+の方の比率は、私の所属する事業部の女性比率とほぼ同じです。これまでやってきた女性活躍推進の取り組みは、LGBTQIA+の方が抱える課題解決にも通じる部分がたくさんあると思うので、私自身の経験も活かしながらすべての人がイキイキと働ける職場をめざして、横須賀さんや宮腰さんをはじめERGのメンバーと一緒に活動を広げていきたいと思っています。

TRP 2024:日立初となるスポンサー参加

横須賀さん
TRPに初めて個人的に参加したのは5年程前、以来毎年足を運んでいます。当時は、マイノリティを含めたジェンダー平等に先んじて取り組んでいる外資系企業がスポンサーとして名を連ねていました。徐々に日本企業の協賛も増える中、日立の名前がない…という残念な思いがあり、いつか日立のスポンサー参加を実現したいと思っていました。ERGを立ち上げた今こそチャンスと思い、コアメンバーの賛同を得てTRP協賛に向け動き出しました。協賛には当然費用がかかりますが、ERGではその予算を確保していませんでした。まずは、社内のDEI推進チームを巻き込み、協力いただきながら関係部署への提案活動を行いました。協賛申し込みの締め切りまで時間がない中、業務の傍ら資料作成や関係部署の説得、TRP事務局との交渉などメンバー間で役割分担しながら、リソースをフル活用してなんとかスポンサー参加に漕ぎ着けることができました。

宮腰さん
TRPに協賛するなら、「日立のロゴもLGBTQIA+の象徴であるレインボーカラーにしたい!」というのがERGメンバーの想いでした。日立のレインボーロゴ「Hitachi Pride Logo」をTRPで使うにあたっては、いろいろな調整が必要でしたが、TRPの会場に掲示されたHitachi Pride Logoやロゴ入りのTシャツを着た社員の方の姿にとても感動しました。また、他企業の参加者や一般の方からもTシャツを褒めていただき、中には、そのTシャツを着てパレードに参加したいとまで言ってくださる方もいて、純粋に嬉しかったですし、日立の影響力を感じる瞬間でした。

画像: 日立のレインボーロゴ「Hitachi Pride Logo」

日立のレインボーロゴ「Hitachi Pride Logo」

佐藤さん
日立ソリューションズでLGBTQIA+のコミュニティを立ち上げた際に、TRPに初めて参加しました。職場はみんながダークトーンのスーツを着て閉塞感を感じながらも仕事をこなすモノクロの環境…そこから一転、TRPではそこにいるみんなが笑顔でその場を楽しみ、開放的な雰囲気で、「なんてカラフルな場所!」と感動したことを今でも覚えています。当時、一緒にパレードを歩いた方の中にいらした某企業の幹部が「本当に来てよかった」とおっしゃっているのを耳にして、これは企業として参加して幹部含めより多くの人に体験してもらうべきだと実感。いつか日立ソリューションズや日立として参加したいと思い続けてきました。2人が話してくれたように協賛までには紆余曲折ありましたが、今回こうして日立がTRPのスポンサーとして参加できたことはとても感慨深いですし、誇りに思っています。会場では、「日立さん待っていたよ!」とたくさんの方に声をかけていただき、日立がこうした活動に取り組むことのインパクトの大きさを改めて感じたと同時に、活動し続けてよかったと思っています。

日立展示ボードの前で

レインボーロゴのTシャツを着て

LGBTQIA+ ERGの今後に向けて

宮腰さん
LGBTQIA+の当事者であることを言いたくても言えない人はたくさんいます。私のように当事者とAllyがともに声をあげ、活動を広げることで、つらい想いをしている人が少しでも楽になれるような場づくりをLGBTQIA+ ERGで実現したいと思っています。

横須賀さん
私は茨城県育ちで昔から日立になじみが深いこともあり、日立が好きです。だからこそ、日立がよりカラフルでインクルーシブな企業になれば嬉しいと思っています。

佐藤さん
日立のLGBTQIA+ ERGの最終目標は、発展的解消です。こうした推進活動が不要な組織風土に変わることが最終ゴール。ジェンダーに関係なく、すべての人が解き放たれて活躍できる場所に日立を変えていきたいです。外資企業が先行して取り組んでいるLGBTQIA+の分野に、日立が積極的に取り組んでいる姿を見せていくことで日本全体が変わる一歩につながると信じて今後も活動に取り組んでいきたいです!

日立グループでは、プライド月間である今月、社員向けにさまざまなイベントを実施し、LGBTQIA+へのさらなる理解共感を広げ、DEIを加速させていきます。

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