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  兵庫県養父市と日立は、中山間地域が抱える高齢化や過疎化などの課題を解決するため、養父市が全国1位*1の保有率(90.9%、2023年10月末時点)を誇るマイナンバーカードを用いた市民向けサービスの創出をめざし、「マイナンバーカードデジタルパスポート化事業(以下、本事業)」の取り組みを開始した。
 本事業は、国が主導するデジタル田園都市国家構想交付金の対象として採択されたもので、養父市が市民に紐づくデータを安全に管理しながらサービス間で連携が可能な「パーソナルデータ連携基盤」を日立と構築し、マイナンバーカードなどを活用した「オンライン投票選挙」や「避難所管理システム」の実現をめざす。2024年2月にはオンライン投票選挙の模擬実施を予定しており、今後も市民の利便性向上に向け、デジタル技術を用いた先進的なサービスの創出を進めていく。

*1 特別区・市において、養父市が全国1位。総務省資料:マイナンバーカード交付状況について

背景と目的

 養父市は、中山間地域という国土の約7割を占める地域に属し、広い区域に集落が点在することに起因する移動の課題や、人口減少により、地域における生活面での支え合いの基盤が弱まっているなどの課題に悩まされている。このような中山間地域の課題解決をめざし、養父市と日立は2022年度にサービス間*2のデータ連携を実現する「データ連携基盤」を構築し、市役所から離れた場所の住民の利便性向上を図る「遠隔行政窓口*3」のサービスを2023年5月から開始した。
 養父市のマイナンバーカード保有率は90.9%を誇り、高齢者を含む市民に広く普及しています。この強みを生かし、養父市と日立は今回新たに、市民が市のサービスを円滑に受けるパスポートとしてマイナンバーカードを活用できる仕組みをつくり、サービス間でのパーソナルデータ連携を可能にする本事業に取り組んでいる。

*2 2022年度はサービス間で非パーソナルデータを連携する機能を開発
*3 養父市 定例記者会見資料 2023年4月25日
  「遠隔行政窓口」は、日立の「汎用デジタル窓口」を活用したもの

本事業の概要

 本事業では、「パーソナルデータ連携基盤」を構築し、マイナンバーカードや養父市が独自で発行する「やっぷるカード(ID)」*4を活用した市民向けサービスの創出を推進する。
「パーソナルデータ連携基盤」は、LGWAN-ASPサービス*5内にある養父市の個人情報管理サーバーから、パーソナルデータのみを取り出し、サービス間で連携可能とするもので、市民が自身のパーソナルデータの提供先を設定できる同意管理機能なども提供する。
 本基盤の構築にあたり、これまで日立が培ったスマートシティのアーキテクチャー検討やエリア・データ連携基盤の構築ノウハウを活用し、国が推奨するパーソナルデータ連携モジュール*6をいち早く用いる。これにより、将来的な地域間・企業間などさまざまな分野に跨るデータの接続を見据えた、相互運用性の高い基盤を実現する。
 今後、本基盤を活用し、養父市の多種多様なサービス間での安心・安全なパーソナルデータの連携を可能にすることで、多くの市民が有するマイナンバーカードを用いたデジタルサービスの拡充を進め、市民の利便性向上をめざす。

本基盤を用いたサービス拡充の最初の取り組みとして、以下2つの市民向けサービスを創出する。

① オンライン投票選挙

 マイナンバーカードの個人認証機能などを活用し、市民が自宅で本人確認の上スマートフォンなどからオンラインで期日前投票宣誓や期日前投票ができる仕組み*7を、日立がスパイラル株式会社*8とともに開発します。これにより、時間や場所にとらわれないオンライン投票選挙の実現をめざす。
 オンライン投票選挙はまだ法整備の段階ですが、実現できた暁には、市民の投票所までの移動時間の削減や投票機会の拡大により、投票率の向上が見込まれるほか、選挙管理委員会の投票集計業務など事務作業の効率化といった効果も期待できる。

② 避難所管理システム

 避難所名簿や避難所への入退管理をデジタル化し、災害時はタイムリーに官民で情報連携を、平時においても地域イベントなどで利用可能な仕組みをめざす。具体的には、現地での混雑緩和のため、事前に市民がマイナンバーカードによる本人確認の上スマートフォンなどから事前登録情報の登録を行い、マイナンバーカードをかざすだけで入退出処理を行う。本システムはテレネット株式会社のらくらく避難所くん*9をベースに提供する。
 本システム上で避難所マップや避難所の混雑度などを公開することも可能なため、養父市は混雑状況に応じた市民の誘導を行う、市民は事前に登録した世帯情報から親族の避難情報を確認するなど、災害時における円滑な避難所利用を実現する。

*4 養父市が市民に配布している、市民一人ひとりを識別可能な『やっぷるID』が記載されたQRコード付きカード。初回登録の際はマイナンバーカ
 ードが必要となるが、マイナンバーカードの代わりに「やっぷるカード」を用いた本人確認も可能。
*5 LGWAN-ASPサービス:自治体内を相互に接続する非常にセキュアな行政専用のネットワークである総合行政ネットワーク(Local Government
  Wide Area Network)を介して、利用者である自治体の職員に各種行政事務サービスを提供するもの。
*6 エリア・データ連携基盤の間の相互運用性の確保に向け、推奨されるモジュール
*7 オンライン投票選挙は期日前投票のみを対象とする
*8 スパイラル株式会社は、オンライン投票システムなどを提供する企業
*9 テレネット株式会社の提供する、自治体向け避難者名簿デジタル管理システム

今後の展開

 養父市と日立は、今後もマイナンバーカードを活用した市民向けサービスの創出などを推進し、市民の利便性を高めていく。また、今後の法改正を見据え先行して取り組んでいるオンライン投票選挙においては、本システムを用いた模擬選挙を、2024年2月を目途に実施予定。養父市が運営するメタバース空間「バーチャルやぶ」上でのオンライン投票選挙も視野に入れ、検討を進めている。
 このように、中山間地域のモデルとなる持続可能な地域社会の実現に向け、最新デジタル技術を活用したまちづくりを推進し、スマートシティにおける先進事例の創出と全国展開をめざす。

参考情報

・オンライン投票選挙の流れ

画像1: 参考情報

・オンライン投票選挙のセキュリティについて

画像2: 参考情報

・避難所管理システムの流れ

画像3: 参考情報

日立のスマートシティ

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