Hitachi
お問い合わせお問い合わせ
日立製作所は、名古屋鉄道(以下、名鉄)と、名鉄グループの情報システム会社であるメイテツコムにおける社内文書の有効活用による業務効率化に向けて、生成AIを活用した技術検証(以下、本検証)を実施した。
本検証は、管理業務における業務効率化を目的とした生成AI活用の可能性や有用性を確認すべく、2023年10月から2023年12月まで、名鉄、メイテツコムと、日立の生成AIのスペシャリストを集結したGenerative AIセンター*が協働して推進したものである。具体的には、名鉄およびメイテツコムの業務で優先度の高いものから、生成AI活用の効果が見込まれるユースケースを選定した上で、日立が準備したデモ環境を用いて実際に生成AIを活用し、評価、チューニングを行った。
本検証では、印刷物のスキャンデータなどの非構造化データで構成される社内文書を活用したため、自然言語処理に精通した日立のデータサイエンティストが、業務での利用を想定して最適化した知識データベースをユースケースごとに構築した。これにより、膨大な社内文書データからなる知識データベースをもとに、生成AIが要点を抽出して一定のレベルで適切な回答を出力し、回答精度が向上したことを確認できた。
日立は今後、名鉄とメイテツコムのさらなる業務の改善効果が見込める他のユースケースの検証を継続して検討し、生成AIの実ビジネスへの活用に向けた取り組みを推進していく。
*日立製作所ニュースリリース(2023年5月15日発表)「新組織「Generative AIセンター」により、生成AIの社内外での利活用を推進し、Lumada事業での価値創出の加速と生産性向上を実現」

本検証の背景

名鉄グループは、「地域価値の向上に努め、永く社会に貢献する」ことを使命に、攻めと守りのDXに積極的に取り組んでおり、ChatGPTをはじめとする生成AIの可能性にいち早く着目し、業界に先がけて生成AIの活用検証をグループ横断で進めている。
日立は、2023年5月にデータサイエンティストやAI研究者、社内IT、セキュリティ、法務、品質保証、知的財産などのスペシャリストを集結した「Generative AIセンター」を設立した。日立全社で蓄積している数百件の生成AIの活用事例や、安全で有効な利用を促進するためのガイドラインといったナレッジを共有して、お客さまの価値向上と業務改善の推進を支援している。
こうした中、名鉄とメイテツコムは、生成AI活用における技術検証のパートナーの1社に日立を選び、社内文書の有効活用による業務効率化に向けた検討を開始した。日立は、AIの業務適用実績やデータサイエンスの知見を生かし、導入に向けたコンサルティングからユースケースの検討、Microsoft Azure OpenAI Serviceを活用したセキュアな検証環境の構築、知識データベースの作成、導入効果の評価検証を支援した。

本検証の概要と成果

今回、3社で検討・協議した複数のユースケースのうち、生成AI活用の実現可能性や業務効率改善の効果が高く見込まれるものとして、名鉄の70年以上にわたる社内報や創業120年にわたる社史に関する情報検索を効率化するユースケースと、過去のヒヤリハット情報を踏まえた安全な業務遂行・対策の検討を支援するユースケースについて優先的に評価・検証を行った。
一般的な書類は、WordやExcel、PowerPoint、PDF、印刷物のスキャンデータなど形式がさまざまで、日本語特有の縦書き記述なども混在することから、どのように知識データベースに取り込むかをユースケースごとに調整することが生成AIの回答精度を高める上で重要となる。本検証では、形式の異なる文書ごとにデータの取り込みを工夫するとともに、余分なノイズを落とすなど適切な前処理を行い、知識データベースを作成した。さらに、入力された質問に対して、知識データベースから適切な文章が抽出できるように、基準となる検索手法の選択や生成AIが回答しやすい指示に言い換えるなどプロンプトエンジニアリングを組み込む技術支援を行った。これにより、質問者の問い合わせに応じた一定のレベルの回答が生成AIから得られることが分かった。
業務に合わせた知識データベースを作成したことで、社内報/社史の情報検索のユースケースでは、スキャンデータや縦・横が混在するテキストデータなど形式の異なる資料でも、適切に要点を抽出して一定のレベルの回答が得られた。また、ヒヤリハットのユースケースについても、十数万件分のデータを統合することで、単一データだけでは得られない包括的な回答が可能となり、業務経験の浅い方でも重要なインサイトを得られる可能性も明らかになった。

今後の展望

名鉄とメイテツコムは今回の技術検証を踏まえ、他の業務への生成AIの適用も引き続き検討していく。また、日立は今後もGenerative AIセンターを核に、生成AIの利用を検討されるお客さまに対して、生成AIによる価値創出をトータルで支援していく。

日立の生成AIコンサルティングサービス

日立では、生成AIのセキュアな環境構築、プロンプトエンジニアリングなどの技術支援、ガイドライン作成、システムの運用支援など、生成AI活用に向けたコンサルティングサービスをワンストップで提供している。Microsoft Azure OpenAI Serviceを活用し、お客さまがチャットアプリに入力した情報が生成AIモデルの学習に使われることなくセキュアに利用することができる環境を提供する。また、社内データを前提知識として活用することで、生成AIが学習していない情報に対しても回答が可能になる。プロトタイプの作成にあたっては、日立のアセットを蓄積・共有・活用するための仕組みであるLumada Solution Hubが提供する開発環境を活用し、検証期間中、お客さまは手軽にプロトタイプのデモ環境を実際に体験することができ、導入の検討や評価を実施することが可能。

関連サイト

生成AIのサイトはこちら

※Microsoft、Azure は、米国 Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
※その他記載の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。

This article is a sponsored article by
''.