日立は、統合システム運用管理「JP1」のSaaS版である「JP1 Cloud Service」のシステム管理において、生成AIを活用して運用オペレーターによるアラート対応の初動を迅速化できる生成AIアシスタントを追加し、4月26日から販売開始した。これにより、システムから発生したアラート(イベント・障害通知など)に対して、運用オペレーターが適切な対処方法を判断する初動時間を短縮することができる。なお、先行して実施した社内の実証実験*1 において、アラート対処方法に関する生成AIの回答内容の正当性を評価し、9割以上*2 のアラートで正しい対処方法を回答していることを確認した。加えて、生成AIの回答に、対処方法だけでなく根拠となるマニュアルなどの引用元の表示も追加することで、運用オペレーターの判断を支援できた。これらにより、日立グループの運用監視業務において、初動の判断時間を約2/3に短縮*1 できる効果を確認した。
また、リモートワークの浸透により多様化するPCやスマートデバイスなどのエンドポイントのセキュリティを一元管理するSaaS版の新サービスも、4月26日から販売開始した。これにより、企業全体で利用されているPCやスマートデバイスなどのIT機器のセキュリティ対策状況の可視化や、機密情報の漏えい防止、ソフトウェアライセンスなどのIT資産管理などが容易になり、企業のガバナンスを強化できる。
これらにより、運用監視や統制といったビジネス継続のために、IT部門の人手に依存してきた業務を効率化できる。
*1: 2024年2月:統合システム運用管理「JP1 Cloud Service」において生成AIを用いた運用効率化・自動化に関する実証実験を開始
*2: 実証実験において、複数の対応マニュアルをベースとした対処方法を回答させた場合(生成AIへの質問を複数回実施した場合を含む)
近年、企業のIT部門は、企業活動のデジタル化をリードする役割を担っており、これまで人手に頼ってきた運用業務の効率化が急務となっている。一方で、各種業務のデジタル化やリモートワークの普及により、マルチクラウド環境や多様なデバイスの活用が進み、企業のIT環境は複雑化の一途をたどっている。このような状況下で、業務システムのレジリエンス向上やIT環境利用の統制といったビジネス継続におけるIT部門の役割の重要性も高まっている。
長年にわたりミッションクリティカルなシステムの運用を支援してきた日立は、こうしたIT部門の役割に寄り添い、運用管理基盤に生成AIやクラウド技術などの最新テクノロジーを取り込み、IT部門の業務効率化を支援し続けている。
今後も日立は、社会インフラを支えるミッションクリティカルなシステムやOTの領域に、生成AIを活用したシステム開発や運用の自動化を適用し、企業や社会のイノベーションに貢献していく。
JP1 Cloud Serviceの強化ポイント
(1) 生成AIを対話形式で容易に利用できる生成AIアシスタントによりアラート対応の初動を迅速化
システム全体の監視やオブザーバビリティを担うシステム管理「JP1 Cloud Service/System Management」において、運用オペレーターがダッシュボード上で、システムから発生したアラート(イベント・障害通知)を選択すると、生成AIアシスタントがアラートに応じた質問文を自動作成する。運用オペレーターは、質問内容を確認し編集することもできる。また、生成AI*3 により対処方法が回答されると同時に、根拠となる運用マニュアルや公開技術情報などのリンクも表示されるため、運用オペレーターは生成AIの回答の妥当性を判断可能となる。これにより、マニュアル類を確認する時間を短縮でき、アラート対応の初動を迅速化できる。
*3: 生成AIアシスタントが接続する生成AI環境については別途準備が必要。準備には生成AI環境の支援サービスを利用可能。
(2) 多様化するエンドポイントの資産管理を一元化し、企業のセキュリティ対策やガバナンスを強化
SaaS版のエンドポイント管理「JP1 Cloud Service/Endpoint Management」は、従業員が利用するPCやスマートデバイス、拠点のサーバーなど、多様化するIT機器のセキュリティ対策状況やソフトウェアライセンスなどの資産状況を一元的に管理し、企業のガバナンス強化を容易にするもの。以下の機能から、企業のニーズに合わせて利用プランを選択可能。
<機能>
- 資産管理:ソフトウェア情報・ハードウェア情報を自動収集し、最新情報にもとづく棚卸を通じ、IT環境の適正化を支援。
- 配布管理:従業員の業務に必要となるソフトウェアや更新プログラムを、スケジュールに従って配布し、業務環境の統制を支援。
- セキュリティ管理:セキュリティ対策状況のチェックなどによりセキュリティリスクを見える化、操作ログの収集やデータの持ち出し制限により、きめ細かい情報漏えい対策を実現。
<活用例>
近年、従業員向けのOA環境の管理サービスが充実してきたが、機密情報を扱う業務においては、厳格な情報漏えい防止の必要性が高まっている。例えば、全従業員向けに Microsoft Intune でデバイスを管理している企業が本サービスを導入することで、特定業務で利用するIDの操作ログ取得やデータの持ち出し制限が可能となり、内部不正による情報漏えい対策を強化できる。
今回強化したJP1 Cloud Serviceの価格と販売開始時期
名称 | 概要 | 価格(税別) | 販売開始時期 | |
---|---|---|---|---|
システム管理 System Management | [オブザーバビリティ] ハイブリッドクラウド環境全体を監視、 収集データを関連付け可視化。 生成AIアシスタント*4 | 245,000円/月~ | 4月26日 | |
エンドポイント管理 Endpoint Management | [ガバナンス] 多様化するIT環境を一元的に管理し、 セキュリティリスクを低減。 ・資産管理(全てのプランで提供) ・配布管理(スタンダード/ライトAで提供) ・セキュリティ管理 | プラン別価格 | 4月26日 | |
スタンダード | 490円/ノード・月*5 | |||
ライトA | 300円/ノード・月*5 | |||
ライトB | 390円/ノード・月*5 |
*4: 生成AIアシスタントが接続できる生成AI環境はAzure OpenAI Service。今後、拡充予定。生成AI環境は別途準備が必要。
*5: ノードは、管理対象となるデバイスのこと。最低100ノード以上の契約が必要。
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