日立は、日立が提供するスマホアプリ「社会参加のすゝめ」*1 を活用し、独立行政法人都市再生機構(以下、UR都市機構)が取り組む住民の健康増進施策の効果を検証する実証実験(以下、本実証)*2 に参画、支援する。
「社会参加のすゝめ」は、スマートフォンの位置情報や歩数などのデータから疑似的に社会参加の状態を計測し、シニアの介護予防に向けた社会参加*3 を促進するアプリである。本実証はUR都市機構が推進する「民間連携事業の拡大・高度化に向けた準備会」(以下、「本プロジェクト」)において、2024年11月から2025年3月まで高津団地(千葉県八千代市)にて行われ、日立は本実証の推進から分析まで一貫した支援を行う。具体的には、「社会参加のすゝめ」を用いて、本プロジェクトにおいて実施する「健康で楽しい暮らし」に資する各種実証への参加者と非参加者や、施策の実施前後を比較することで、定量的に施策による介護予防および健康増進効果を評価する。これにより、本プロジェクトにおける団地およびその周辺住民の外出や健康を促すための効果的なコンテンツの検討が可能になる。
*1: 「社会参加のすゝめ」は日立の登録商標です。2022年2月15日 ニュースリリース
*2: UR都市機構 お知らせ: UR Connect Project「UR賃貸住宅での「健康な暮らし」の実証」に向けた連携企業様の募集
*3: 社会参加:日々の生活の中で、「外出する」「地域や趣味の集まりに参加する」「友人に会う」など、人と交流する行動の総称。
※ 画像は「社会参加のすゝめ」を活用した効果検証のイメージ
背景
UR都市機構は高齢者世帯、子育て世代などの多様な世代が生き生きと暮らし続けられる住まい・まちづくり(ミクストコミュニティ)の実現をめざし、団地の機能や役割を多機能化させ、持続可能で活力ある地域、まちづくりを推進している。昨年度からは、本プロジェクトを通じ、団地をフィールドにさまざまな民間事業者と連携し、民間事業者のノウハウ・サービスを活用することで、団地価値、顧客満足度の向上に向けた取り組みを行っている。本年度は「健康で楽しい暮らし」を注力テーマにした各種実証を行い、その施策の定量的かつ精緻な効果測定を行う。
日立は、社会参加がもたらす介護予防効果に着目し、デジタルを活用して社会参加の度合いを測り、介護予防の支援につながる仕組みを作るアプリ「社会参加のすゝめ」を2022年に開発*4 した。60歳以上のシニアにおいて、社会参加の効果を意識しながら本アプリを用いて生活する方は、そうでない方と比較して社会参加量が増えることが統計的に示されており、2024年6月の日本老年医学会*5 や、学術論文誌*6 でも発表されている。
本実証では「社会参加のすゝめ」を活用し、ユーザーの活動を計測、可視化することによって、社会参加の豊かさという軸で健康状態を推定することで、個人の評価に加えて地域コミュニティが活性化されているかという観点での評価も可能である。
*4: 2022年6月3日 ニュースリリース
*5: 日本老年医学会(第66回日本老年医学会学術集会 The 66th Annual Meeting of Japan Geriatrics Society (congre.co.jp))
*6: 学術論文誌 Journal of Medical Internet Research - Effects of a Mobile App to Promote Social Participation on Older Adults: Randomized Controlled Trial (jmir.org)
実証実験の概要
本実証は2024年11月から2025年3月までの5か月間、高津団地(千葉県八千代市)の住民を対象に、UR都市機構がサービス・コンテンツを提供する事業者やデータ利活用・検討事業者などの参加事業者を募り実施する。日立は、データ利活用・検討事業者として参加し、スマホアプリ「社会参加のすゝめ」にて計測できる歩行センサーやGPSセンサーのデータを用いて、参加者の滞在場所や行動、参加イベントなどへの社会参加度に関して分析、評価する。
これまで健康増進施策の評価方法としては、センシングデバイスやアンケートでの計測が一般的であったが、センシングデバイスではコスト面やシニアの操作面、アンケートでは回答内容が主観的であることや、詳細な定量評価が難しいことが課題であった。一方、スマホアプリはシニア世代でも利用率が高まっていることもあり、本アプリによる評価は、無料アプリをインストールするだけでコストをおさえながらも自動的に定量的な活動量の計測ができる。
今回の実証では、本プロジェクトを通じ、参加者の了承を得た上で収集した参加者の属性や健康増進施策への参加状況などに関するデータについて、実証参加者のプライバシーを担保しながら日立の計測データと合わせることで、複合的な分析を実現した。今後、日立は「社会参加のすゝめ」による公共団体と民間事業者とのデータ連携を推進していく。
「社会参加のすゝめ」のユーザー向け機能
・日々の社会参加の記録・可視化
1日の歩数や移動経路、滞在した場所を自動的に記録し可視化する。移動経路への写真の紐づけや、メモを残すことも可能である。
・社会参加度レポートの配信
毎月の始まりに前月1ヶ月間を振り返るレポートと合わせて、社会参加度に応じた称号やアドバイスを配信する。
・ユーザー間のつながり
アプリのユーザー同士で相互に「つながる」ことで、互いの社会参加度を共有し健康維持の意識向上やコミュニケーション促進を支援する。
・情報提供コンテンツ
今後、居住地域に特化した情報や、シニア世代およびそのお子さま世代に役立つ情報などをアプリ上で発信するコンテンツを拡充していく予定である。
今後の取り組み
日立は今後、他自治体などの公共団体との連携を進め、高齢者だけでなく多様な世代が生き生きと暮らし続けられるコミュニティ作りに貢献していく。さらに、国や自治体、多様な業種の企業とともに社会参加を軸としたエコシステムを構築することで、誰もが健康的で豊かな生活を創出するための取り組みを推進していく。
関連 Web サイト
社会参加のすゝめ:金融ソリューション:日立 (hitachi.co.jp)
見守りアプリ「社会参加のすゝめ」|日立製作所 (navitime.jp)
「メモと地図で作る、おでかけ日記で健康に | 社会参加のすゝめ」を App Store で (apple.com)
スマホで簡単みまもり | 健康と安心の社会参加のすゝめ - Google Play のアプリ
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