11月19日~22日にシカゴで開催された、米Microsoftの開発者会議「Microsoft Ignite 2024」では、GlobalLogicやHitachi Digital Services, Hitachi Solutionsなどの日立グループがOne Hitachiとして出展し、R2O2.aiやPlatform of Platformsをはじめとする生成AIを活用した事業事例を紹介。さらに、Microsoftとの戦略的アライアンスを統括するHitachi DigitalのLucy Mangasさんも現地参加し、日立とMicrosoftのアライアンスの狙い、生成AIを活用したデモを行いました!そんなLucyさんにインタビューを行い、本アライアンスの背景や今後の展望についてお話いただきました。
Lucyさんの業務について
Lucyさん:私は、Microsoftとの戦略的アライアンスを推進する立場としてさまざまな活動に取り組んでいます。主な役割としては、日立グループとしての考えをMicrosoftに伝えることです。同じ会社であっても、ビジネスユニットやグループ会社によって強みや目標、KPIが大きく異なるため、こうした違いを理解した上で、日立を代表しコミュニケーションを図ることは、非常に重要です。日立内部での会話を繰り返し行い、状況把握を行いつつシナジーを高めるという活動も行っています。
また、Microsoftは大企業であり、AzureやCopilot、Microsoft 365などさまざまな先進的なサービスを提供しているため、相対する部門や関係者も多岐にわたります。アライアンスを締結する上では、そうしたステークホルダーがそれぞれに持つ独自の価値を掛け合わせ、他にはできないユニークさを作り上げる必要があります。日立とMicrosoftのアライアンスにおいても、競合他社との差別化を図り、マーケットシェアの獲得や認知度・収益性の向上などお互いにとってWin-Winの関係を築けるよう検討を進めています。
日立とMicrosoftのアライアンスの背景や狙い
Lucyさん:日立とMicrosoftはどちらも独自の強みを持った会社です。日立は、製造業において110年以上もの経験とノウハウを有しているほか、さまざまなデジタルサービスや技術、ソリューションを提供しています。一方、Microsoftも大手テック企業の一つとして、クラウドや生成AIの分野をリードする会社。日立が持つ、ITとOT(制御・運用技術)の力をMicrosoftのクラウドや生成AIなどの最先端技術と掛け合わせることで革新的なデジタルサービスを作り上げることができるという考えのもと、アライアンスがスタートしました。お互いに得意とする分野や、今までターゲットとしてきたお客さまも異なるため、このアライアンスを通して、新しいビジネス領域に参画することが可能になります。お互いの強みを最大限に生かしてより良い社会を実現していきたいと考えています。
Microsoftとのアライアンスの社会的意義
Lucyさん:Microsoftとのアライアンスの社会的意義はいくつかあります。まず、日立内部での生産性向上を通した社会イノベーションの促進です。例えば、Microsoft Teamsで音声自動通訳が利用可能になることが今回のMicrosoft Igniteにて発表されましたが、こうした技術をグローバルに事業展開する日立で活用すれば、地域を超えたコミュニケーションが活性化されビジネスの幅が広がることが期待されます。それぞれのビジネスユニットやグループ会社が有するサービスをボーダレスに展開することは、日立の社会イノベーション事業の加速を大きく後押しすると感じています。Microsoft製品を導入することで、社会に貢献する日立の技術やサービスを、より多くの人や地域、幅広い領域に適用することにつながっています。
また、日立が提供するサービスに生成AIを組み込むことで、日立のお客さまやエンドユーザーに新たな価値を提供することも社会的意義の一つです。最先端技術を活用し現場のノウハウやマニュアルなどさまざまなデータを学習させ、活用しやすい形で利用者に提供することで、工場の安全性向上や、フロントラインワーカーの生産性向上など、日立として社会に貢献できる可能性がさらに広がります!
ただ、生成AIの活用には非常に多くのエネルギー消費が伴うため、CO2排出量の削減、環境負荷の低減に取り組む必要もあります。日立エナジーでは再生可能エネルギーの活用や、電力の効率化を促進するソリューションやサービスもMicrosoftに提供し、生成AI活用における環境への負荷低減を一緒に進めているところです。
今後の展望
Lucyさん:今後は新しいマーケットを探求し、ビジネスチャンスをさまざまな領域に広げながら継続的に社会課題を解決していきたいと考えています。特に、今回Microsoft Igniteで発表されたようなMicrosoftの新しい技術を日立のサービスに積極的に組み込んでいくことが理想です。また、日立の製造分野における深いナレッジやグローバルでの存在感を生かし、Microsoftが支援を必要とする領域や新たな領域でのイノベーションを推進していきます。そして、この2社が協働して創り上げたサービスを社会に提供することは、他の企業や人々を支えるものになると確信しています!こうしたサービスを通してサステナブルな社会を実現していきたいです。
Microsoft Igniteの現地では、Lucyさんを含む日立グループからの参加メンバーとMicrosoft Japanのパートナーデベロップメントマネジャー多田裕瑛さんとの交流も!日立とMicrosoftのアライアンス強化に向けて、関係性を深めました。
Lucyさんのバックグラウンドなどについては日立デジタルのYouTubeでも紹介されているので、ぜひご覧ください!
★Lucyさん紹介動画:Hitachi Digital's Lucy Mangas - YouTube