日立は、金融機関における窓口業務のDXを加速し、非対面・非来店取引を促進するソリューション「Branch in Mobile*1」をクラウドサービス化し、「Branch in Mobileサービス」(以下、本サービス)として、4月1日より提供開始する。
なお本サービスは、百五銀行での導入が決定しており、同日よりサービス運用を開始する。
本サービスは、日立が2022年9月より提供開始した「Branch in Mobile」を、アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)のクラウド上で構築することで、SaaS型サービスとしたものである。これにより、クラウド上に日立がセキュアな環境を構築し、プラットフォームやセキュリティに関する運用を行うことで、金融機関側の環境構築が不要になる。また、クラウド上で対面・非対面取引双方がワンプラットフォーム環境でシームレスにつながることで、いずれの側からも取引完結が容易になり、利用者のニーズに応じた柔軟かつ迅速なサービス提供が実現する。さらに、金融機関側で簡易なシステムの追加・変更などを内製化することにより、開発の迅速化、変化へのスピーディーな対応が可能となる。
日立は今後、地域金融機関を中心に本サービスの提供を進め、金融機関と利用者の双方への価値向上をめざす。
*1: ネット×リアルチャネルソリューション「Branch in Mobile」: スマートフォンやタブレットといったモバイル端末を起点に、インターネットバンキングやオープンAPIをはじめとした「ネットサービス」と店舗やATMなどによる「リアルサービス」をシームレスにつなぎ、金融機関の各サービスにおける顧客経験価値の向上を支援するソリューション。
背景
近年、地域金融機関における経営課題として、DXの活用による業務効率化が求められている一方で、非来店・非対面チャネルの需要が高まるなど、変化する顧客のニーズに柔軟に対応したサービスの拡大が求められている。
このため、日立では2022年9月より、窓口業務の非対面化をスマートフォンなどモバイル端末からのアクセスによって促進するソリューションとして、Branch in Mobileの提供を開始していた。しかし、オンプレミス環境での提供であったため、利用者が非来店・非対面チャネルを利用するには、金融機関内のサービスに接続する際の安全性を確保する必要があった。ゆえに、サイバー攻撃や不正アクセスなどからシステムを守るためには、金融機関側でのセキュアな環境の構築という、難しい課題を抱えていた。
また、近年の社会情勢の変化や利用者のニーズへの対応、事務作業の省力化やペーパーレス化の推進など、金融機関はさまざまな業務改革を迅速に行うことが求められている。そのため、金融機関側でカスタマイズや機能追加などの内製化により、柔軟に簡易なシステムの追加・変更ができることが重要になっている。本サービスでは、SaaS型サービスとしてセキュアな環境をAWSのクラウド上で日立から提供し、運用することによって、セキュアな環境のもと、非来店・非対面チャネルを金融機関側が容易かつ柔軟に提供できるようになった。さらに、金融機関側で、業務改革へ迅速に対応するためのカスタマイズや機能追加を可能としている。
本サービスの特長
(1) クラウド上でのセキュアな環境構築による利用者との安全な接続を実現
本サービスは、日立からSaaS型サービスとしてAWSのクラウド上で提供を行うため、金融機関側でのサーバー構築やセキュリティ対応などの環境構築、プラットフォーム・セキュリティに関する運用などが不要となる。特に、非来店・非対面チャネルの提供にあたってネックとなっていたセキュリティの確保においては、日立がこれまでインターネットバンキングなどで実績のあるセキュリティ基盤*2 をもとにセキュリティセンターを設けることで、利用者との安全な接続が容易になる。また金融機関のニーズにあわせて、柔軟なシステム変更が可能である。
*2: FINEMAX: インターネットバンキング共同センタサービス。
(2) ワンプラットフォーム化された対面・非対面チャネルによる、利用者へのサービス向上に貢献
本サービスにより、Branch in Mobile における対面・非対面取引のワンプラットフォーム化がクラウド上で実現する。よって金融機関側は、対面・非対面でそれぞれプラットフォームを構築することが不要となるとともに、双方の画面開発がワンプラットフォーム上で可能なため、迅速かつ柔軟なサービス提供・拡張が容易となる。また、利用者は、リアル店舗のみならず、スマートフォンやタブレットを用いて、オンライン上で「いつでも」、外出先や自宅など、場所に限定されず「どこでも」手続きを完結できるようになることで、満足度向上に貢献する。
(3) 金融機関側のシステム内製化を促進
本サービスでは、金融機関側でのシステム内製化を可能とする。具体的には、日立が独自開発したローコード開発機能*3 や、アプリケーション開発に自動化を取り入れた手法(CI/CD*4機能)を活用することにより、システムに関する専門知識・技術がなくとも、金融機関自身で、簡易にシステムの追加・変更を行うなど、内製化が可能となる。これらにより、システムの変更やテスト、リリースといった工程を金融機関内で完結することができ、内製化による業務改革を支援する。
*3: ローコードツール: 最小限のプログラミングでアプリやシステムを構築できるプラットフォームのこと。
*4: CI/CD: アプリケーション開発に自動化を取り入れた手法。(CI: Continuous Integration、CD: Continuous Delivery)
今後の取り組み
日立は、今後サービスのさらなる拡充や、幅広い金融機関への横展開を進めるとともに、「金融機関向け融資DX推進サービス*5」などとのシームレスな連携を進め、幅広い銀行業務のDX化を推進する総合型プラットフォームをめざす。
また百五銀行においては、本サービスを活用してペーパーレスに向けた内製化に着手し、まずは口座開設・各種届出・ローン申込業務を起点に約20種類の取引伝票や行内帳票の電子化と、他支店からの電子化された書類を参照できる仕組みを構築する。将来的には、法人・個人向けに、対面・非対面取引のサービス効率化を進め、銀行業務の高度化をめざす。
*5: 金融機関向け融資DX推進サービス: 法人向け融資・個人ローン・住宅ローンなど各種融資業務を中心としたSaaSサービス。
価格および提供開始時期
サービス名 | 価格 | 提供開始時期 |
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Branch in Mobileサービス | 個別見積 | 2025年4月1日 |
商標注記
・アマゾン ウェブ サービス、AWSは、Amazon.com, Inc.またはその関係会社の商標です。
・その他記載の会社名、製品名などは、それぞれの会社の登録商標または商標です。