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※画像は本実証のイメージ図

高齢者の外出機会促進や地域交通の活性化を通じた地域創生と、交通事業者および自治体の業務効率化に貢献

徳島県石井町(以下、石井町) と日立製作所(以下、日立)は、このたび顔認証*1 による本人確認を活用し、自治体が提供する移動助成券のデジタルチケット化における運用実証(以下、本実証)を、2025年10月1日から2026年2月16日まで実施する*2。本実証では、石井町が高齢者等外出支援事業*3 として発行している紙の移動助成券のうちタクシー助成券を、顔認証技術を活用したデジタルチケットに置き換え発行する。
これにより、助成券の紛失リスクを回避し手ぶらでの利用で利便性が高まることで、高齢者の外出機会創出と移動促進を支援するとともに、使用済み助成券の保管・管理の手間を省くことで、交通事業者および自治体の業務効率化を実現する。また、高齢者の外出機会の増加により公共交通の利用が活性化されることで、地域経済の活性化、ならびに地域創生に貢献する。今後は、バス移動助成券への展開や近隣自治体とのサービス共同化も検討していく。

*1: 日立の公開型生体認証基盤(PBI: Public Biometric Infrastructure)に対応した「生体認証統合基盤サービス」を活用し、PBIとパナソニック コネクト株式会社の顔認証技術を融合することで、安心・安全な顔認証を提供。
*2: 2月17日以降の継続運行も検討中。
*3: 令和7年度石井町高齢者等外出支援事業について

背景

近年、少子高齢化の進行に伴い、運転免許証の自主返納や、身体的・環境的な影響による移動の制約などの理由から、移動手段として公共交通を利用する高齢者は増加している。一方で、全国的に公共交通の利用客が減少しており、特に地方部では路線の縮小や運行本数の減少が進み、サービスレベルの維持が課題となっている。これにより、移動手段が限られる高齢者の外出が促されず、健康面などの影響が懸念されている。
こうした課題に対応するため、多くの自治体では高齢者の移動促進施策として、バスやタクシーの利用料助成を行っている。石井町でも、高齢者の外出支援を目的に、高齢者等外出支援事業としてバス・タクシーの移動助成券を配布する施策を実施している。しかしながら、石井町を含めた多くの自治体では、これらの助成券を紙のちぎり券(回数券型)として配布していることで、交通事業者や自治体側でも台帳管理や使用済み助成券の保管・管理に手間がかかることや、利用者側でも紙のちぎり券(回数券型)による紛失リスクや不正利用などが課題となっている。

実証内容

画像: 実証の流れ

実証の流れ

本実証では、石井町が配布しているバス・タクシー移動助成券のうち、タクシーを対象に実施する。利用には従来の紙のちぎり券と同様に、事前に石井町役場での利用申請および顔認証登録を行う。利用時には、顔認証による本人確認を通じて手ぶらでデジタルチケットの利用が可能である。デジタルチケットの利用による料金支払いは発生せず、乗車時に助成券の残額が不足した場合は、現金やクレジットカードでの支払いが必要となる。利用者は、タクシーやWeb上でチケット残数の確認ができ、利用後には登録されたメールアドレス宛に利用履歴が送付される仕組みとなっている。
これらのデジタル化により、高齢者など移動手段に制約のある方が、より手軽に公共交通を利用できるようになることで外出機会の創出にもつながる。また、利用時に本人確認ができるようになり不正利用の防止が可能となる。さらに、交通事業者・自治体双方にとっても利用状況の確認が容易となるほか、ペーパーレス化による精算業務の効率化や運用負担の軽減が可能となる。

今後の展開

今後は、バス移動助成券へのサービスの横展開や近隣自治体とのサービス共同化を進めるとともに、観光・小売・などの分野と連携し、MaaS*4 の活用による交通サービスの高度化を検討していく。また、このような取り組みを通じて地域の公共交通の利便性向上と活性化を継続的に支援し、持続可能な地域創生に貢献していく。

*4: MaaS: Mobility as a Serviceの略。デジタル技術の活用により、さまざまな交通手段による移動を一つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ移動の概念。

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