業務・IT・組織の変革を一体的に推進し、顧客の事業成長に貢献
※ 図は「モダナイゼーション powered by Lumada」がめざすデジタルセントリック企業への変革
日立製作所(以下、日立)は、デジタルセントリック企業へ変革をめざす企業向けに、AIネイティブな基幹システムへ刷新する「モダナイゼーション powered by Lumada」(以下、本サービス)を10月21日より提供開始した。
昨今、多くの企業が労働人口減少に伴う業務ナレッジの継承や競争力強化への対応が迫られる中、企業ITの中核を担う基幹システムにおいても、熟練エンジニアの減少やシステムのサイロ化が大きな経営課題となっている。これらの課題に対し、日立はこれまで顧客のシステムを最新技術で刷新するモダナイゼーションに伴走してきた。しかし現在では、基幹システム刷新だけに留まらず、AI活用を前提とした業務や組織の改革、すなわちAIネイティブな事業基盤の実現が求められている。そこで日立は、深いドメインナレッジとAI技術・活用ノウハウという強みを集約したLumadaのアセットを生かし、顧客の業務・IT・組織をデータドリブンで変革する2つのメニューを備えた本サービスを提供する。
具体的には、「グランドデザイン策定サービス」において、変革に必要な投資の優先順位などを踏まえたグランドデザインと、システム刷新に必要な技術選定やリスク評価を含む実効性の高いロードマップを策定する。また、「業務・ITモダナイゼーションサービス」では、AIを活用した業務自動化による業務変革の推進、重要データの特定やデータ品質の維持、そして最新アーキテクチャーへの刷新を行う。さらに、システム刷新の全工程へのAI活用に加え、豊富なグローバル人財を活用し開発の迅速化を図るほか、グランドデザインに基づく実行体制の構築やデジタル人財の育成も行う。これらにより、デジタルセントリック企業に向けたモダナイゼーションを推進することが可能になる。
また、本サービスは、ドメインナレッジとAIの活用を通じて進化した、Lumada 3.0 のビジョンを体現するAIソリューション「HMAX」を展開する際にも活用する。現在、日立のビルシステム事業で提供する「HMAX for Building : BuilMirai(ビルミライ)」の進化に向けて、本サービスを先行適用している。具体的には、深刻化するエレベーターなどのビル設備メンテナンスにおける人手不足に対して、ベテランの暗黙知をデジタル化しAIによる業務の自動化を推進している。その業務変革と並行し、設備の集中管理を担う管制システムなどのIT刷新を進めるグランドデザインを策定している。
このように日立グループ内で徹底した実践を行う「カスタマーゼロ」の取り組み成果も活用することで、顧客は変革のスピードを加速しながら持続的な成長を実現することができる。
顧客の一社である 大同生命保険株式会社 システム開発二部次世代システム開発室 室長の 黒川 智也 氏からは、「当社は現在、日立製作所様のご協力のもと、メインフレームからオープンシステムへのマイグレーションに取り組んでいます。マイグレーションの完了後は、当社のお客さまである中小企業に、より充実した保障とサービスを提供するため、AI等のテクノロジーのさらなる活用により、一層機動的なシステム開発に取り組みたいと考えています。日立の『モダナイゼーション powered by Lumada』は、AIの一層の活用を強力に推進するものであり、当社のIT活用の方向性と合致するものと感じています。」とコメントを頂いている。
「モダナイゼーション powered by Lumada」の特長
本サービスは、ミッションクリティカルな業務を支えてきた、日立コンサルティングの業務プロセス変革支援の実績や、データマネジメント・アーキテクチャーに関する深い知見といったドメインナレッジに加え、日立のAI活用ノウハウやデジタルエンジニアリングのケイパビリティをもつ GlobalLogic の人財も活用して提供するものである。それぞれの特長は以下の通り。

(1) 計画フェーズ:「グランドデザイン策定サービス」
企業が描く成長戦略と現状の差分を、GlobalLogic で実績のある CAST Imaging/Highlight*1 なども活用して分析し、優先して取り組むべきプロセスを選定するとともに、売上拡大に向けた要所の設定や業務・システム・人財の観点を踏まえたグランドデザインを策定する。また、グランドデザインをもとに、ハイパースケーラなどテクノロジーパートナーを含めた技術選定*2 やリスク評価、コスト管理の基準、スケジュールの試算などを行い、実効性の高いロードマップを策定する。これらにより、投資の優先順位に悩む経営層の意思決定を支援するとともに、AIを前提とした業務変革とシステム刷新を同時に推進し、業務変革の成果を早期に実現する。
*1: システムを解析して設計や仕組みを明らかにするリバースエンジニアリングを通じて、ブラックボックス化した現状システムの構造を可視化するデジタル技術。
*2: アマゾン ウェブ サービス(AWS)のモダナイゼーションソリューションである AWS Blu Age、AWS Transform や、UI/UXのモダナイゼーションとして Figma Make を活用するなど、テクノロジーパートナーのソリューションについても、日立が評価して、コンポーザブルに活用予定。
(2) 実行フェーズ:「業務・ITモダナイゼーションサービス」
① AIエージェントを活用した業務変革
日立は、経営から現場業務まで200種以上の多様なAIエージェントの開発・運用実績を蓄積しており、これらの環境やノウハウを活用することで、顧客が変革されたい幅広い業務ニーズに対応することができる。また、日立のドメインナレッジを生かし、業務上の意思決定や判断の背景となっている暗黙知も含めた重要なデータを特定し学習させることで、AIの推論能力を高度化する。これらにより、実効性の高いAIエージェントが開発可能になり、これまで人でしか対応ができなかった業務に対しても、AIエージェントを早期に適用することで業務変革を実現する。
② AI活用に適したデータの品質を維持するデータマネジメント
AIエージェントの業務適用では、活用するデータの質が結果に直結する。そのため、AIの目的に特化した高品質なデータの準備と維持が特に重要である。日立は、データマネジメントの知見をもとに、継続的にデータ品質を確保するデータ統合基盤とその運用を提供する。また、既存の基幹システムなどから安全かつリアルタイムにデータを収集・統合し、効率的にデータをインプットできることでAIエージェントが担う業務の精度と信頼性を向上することが可能になる。さらに、AIエージェントのデータアクセス制御などセキュリティ課題に対しても、グローバルな専門家の監修のもと、業界や地域の規格に準拠したベストプラクティスに基づき構築・運用する。これらにより、データの収集・活用のライフサイクル全体を通じたデータガバナンスを実現する。
③ ITシステムのアーキテクチャーを適切に刷新、AI・グローバル人財の活用で加速
日立における数百件以上のモダナイズ実績を活用することで、ITシステムを、迅速性を重視する領域と安定性を重視する領域に切り分け、そうした特性と優先順位に基づいてコンポーザブルなアーキテクチャーに刷新する。既存資産の継承においては、日立の開発フレームワークにより、全工程でAIを活用しながら、高品質な仕様書の再生から適切なコード生成まで実現し、加えて実績豊富なモダナイズツールも組み合わせることで、AIとの親和性やメンテナンス性に優れた資産へと刷新する。また、日立のセキュアで標準化された開発環境を活用するとともに、今後、豊富なグローバル人財を積極的に活用していくことにより、より一層迅速な開発を実現していく。さらに、ITシステムの要件に応じて、スケーラブルかつ耐障害性の高い基盤や、社会インフラ向けの堅ろうな基盤も提供可能である。
④ 組織の変革と人財育成
デジタルセントリックな企業への変革を実現するためには、推進をリードできるデジタル人財の育成と組織文化の変革が不可欠である。日立は、グランドデザインに基づく実行体制の構築や、AI活用・アジャイル開発をけん引する人財の育成、そして実践による定着化まで包括的に支援する。また、ROIやKPIの達成状況を可視化することで、ビジネス部門とIT部門が共通目標に向けて継続的に改善できる環境づくりにも伴走する。
日立のモダナイゼーションについて
商標注記
・記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。



