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日立製作所(以下、日立)と東北電力ネットワーク(以下、東北電力NW)ならびに東北電力による引込線以下設備不良予兆検知システム(以下、本システム)の開発・実用化グループが、第70回澁澤賞 発明・工夫、設計・施工部門を受賞しました。
本システムは、スマートメーターから取得可能な膨大なデータを活用し、引込線以下の設備における不良の兆候を早期に検知するものです。澁澤賞は、電気保安分野で優れた業績を顕彰する権威ある賞であり、本システムの革新性と社会的貢献が高く評価されました。

システム開発の背景

従来、設備不良の予兆を把握することは難しく、停電が発生した後に需要家からの連絡を受けて修繕対応を行うのが一般的でした。しかし、電力業界では労働人口の減少や設備の老朽化により、24時間365日の停電対応体制を維持することが大きな課題となっています。特に休日や夜間の当直業務は負担が大きく、業務効率化の必要性が高まっていました。
こうした課題を解決するために、日立と東北電力NWは2019年度からスマートメーターと引込線以下設備の停電実績の法則性を解析する共同研究を開始しました。

本システムの概要と技術的特徴

日立の機械学習における知見と、東北電力NWの持つ配電業務のドメインナレッジを掛け合わせることで、両社は特許技術*1の機械学習を開発。この技術を活用することで、停電に至るまでにスマートメーターが検知するイベント情報(瞬時的な停電や電圧低下)の発生を検知する予測モデルを構築しました。これにより、引込線以下設備の不良予兆を早期に検知し、停電発生前に計画的な修繕が可能となります。2022年度の試行運用では的中率90%*2という高精度を達成しました。東北電力NWのメーターデータ管理システムの一機能として実装され、2024年度から本格運用を開始しました。

*1予測モデル生成方法及び装置(特許7152461号、2020年出願、2022年登録)
*2的中率は「設備不良があると予測した中で、実際に設備不良があった割合」となり、予測結果の信頼性を表す指標。

画像: 引込線以下停電予兆検知システムの導入による効率化・高度化のイメージ

引込線以下停電予兆検知システムの導入による効率化・高度化のイメージ

本システムの導入効果

本システムの予兆検知により停電を未然に防止することで、突発対応を減らして計画的な業務運営を実現。電気保安の高度化と利用者の安全確保に大きく寄与しました。また、2024年度は680件に対応し、9割超で不良を確認する高い的中率を達成しました。さらに、設備更新の効率化やコスト抑制に加え、事後アンケートによると社員の87%が業務効率化を実感しているという結果も得られています。
日立は今後、システムのさらなる改良と普及を進め、電力設備のさらなる安全性向上に貢献していきます。また、デジタル技術を活用した保安管理の高度化を推進し、社会の安心・安全を支える取り組みを強化していきます。

受賞内容

【発明・工夫、設計・施工】
引込線以下設備不良予兆検知システム 開発・実用化グループ
河村 拓郎(東北電力NW)、山田 信一(東北電力、開発時は東北電力NW)、風張 勇介、柴田豊(東北電力NW)、和田 義將(日立)

澁澤賞について

澁澤賞は、昭和31年に創設された民間で唯一の電気保安関係表彰であり、故澁澤元治博士の功績を記念して毎年贈呈されています。博士は「電気事業法」や「電気工作物規程」の制定、電気主任技術者制度の改革など、日本の電気保安体制の確立に多大な貢献をされました。本賞は、その精神を継承し、電気保安に優れた業績を上げた方々を顕彰する権威ある賞です。

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