本ソリューションは、企業が求める人財定義から、現場部門の課題に即したスキルや特性の設定、社員の評価の視える化・教育プランのレコメンドまで、職種に応じた人財育成を支援するもの。導入企業の社員は、実績や保有資格などの定量評価と、企業理念に基づき活動しているかを測る定性評価による多面的な軸で、自身のプロフェッショナル人財としてのレベルを確認し、スキルアップにつながる教育プランのレコメンドなどを受けることができる。
これにより、企業や現場部門の方向性と個人のキャリアプランのミスマッチを解消し、社員のエンゲージメント向上に貢献する。また、現場ニーズに即した資格取得率向上や、プロフェッショナル人財の増加など、より効果的な人財マネジメントを支援する。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の顧客担当部門において、本ソリューションのベースとなる独自のシステムを活用し、営業能力の向上など有効性を確認したことから、このたび、より幅広い業種で対応できるよう両社で共同開発し、日立からソリューションとして販売を開始した。
背景
近年、ESGへの関心の高まりによる人的資本の開示義務化や労働力減少を受けて、多くの企業では、リーダーシップ向上といった従来の人事部門主導の画一的な人財育成から、現場主導の具体的な人財育成への変革が求められている。また、個人の価値観や意識も、従来重視されていた業績達成から、新たにウェルネス・社会貢献による満足感の重視へと変化しつつある。さらに、近年の若年層を中心とした離職率の増加は、採用後、組織の各部門が直面する課題に対応できる「求める人財」と社員の「ありたいキャリアプラン」との間のミスマッチが原因と言われており、社員のエンゲージメント向上も急務となっている。
こうしたミスマッチを解消し、現場で実際に求められる能力についてスキルアップ・リスキルを行うため、三菱UFJモルガン・スタンレー証券と日立は、プロ人財視える化・育成ソリューションを開発した。
特長
- 現場部門主導で、各職種に特化した人財のスキル・能力を可視化、育成
業績評価などの定量評価と社会・組織への貢献といった定性評価を組み合わせ、企業・現場部門といった組織の観点で社員一人一人のプロフェッショナル人財としてのレベルを可視化する。
具体的には、まず、定量的な一次評価として、業績などの数値や各現場部門で重視する保有資格の有無などのスキルをもとに、各部門における個人の位置づけを視える化する。次に、定性的な二次評価として、ミッション・ビジョン・バリュー (MVV) といった企業が求める理念や業種・業態に応じた組織の経営戦略を指標化し、それに基づいて行動し、かつ高実績を残せる人財かを判定する。さらに、これら二つの評価を組み合わせ、プロフェッショナル人財としてのレベルを3~5段階で認定する。
これにより、組織やマネジメントの観点で社員を多面的に評価できるため、組織の戦略とより合致した人財の育成・活用が可能となる。 - パーソナライズされた評価と教育プランで、社員エンゲージメントを向上
社員一人一人が現在の能力とスキルを確認できるため、自社・自部門が求めるプロフェッショナル人財と、自身のレベルや組織における位置づけを視覚的に理解できる。
これにより、これまで曖昧であった評価される人財の基準が明確になり、自身がプロフェッショナル人財に成長していくことによる達成感を得られる。また、プロフェッショナル人財としてのレベルを高めるため、スキルアップに向けた教育プランのレコメンド・社員の得意分野を伸ばすコーチングなどで本人のキャリア形成を支援し、モチベーション向上につなげる。さらに、社員一人一人が、業務の中で自律的に自分の達成度と社会・組織への貢献感を確認することで、組織へのエンゲージメント向上を支援する。
今後の展開
今後、日立は、本ソリューションを、金融機関の営業職に限らず、製造・流通業をはじめさまざまな業種の企業や職種に展開していくほか、グループ各社とも連携し、より効果的な人財育成の提供を進めていく。さらに、日立人財データソリューション*1 や、日立のESGマネージメントサポートサービス*2 など日立の各種Lumada*3 ソリューションとも連携し、企業の人的資本経営を積極的に支援していく。
*1: 日立人財データソリューション
*2: ESGマネージメントサポートサービス
*3: Lumada : 顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称。