ミッションクリティカルなシステムの安定稼働を実現
日立は、セコム損害保険(以下、セコム損保)の基幹システムを、現行のメインフレームからプライベートクラウド*1 にマイグレーションし、このたび、新環境の構築を完了した。
今回のマイグレーションプロジェクトにおいては、金融システムの長年の実績と知見を有する日立が、これまで多くの顧客のプラットフォーム移行を支援してきたマイグレーションサービス*2 を活用することで、現行のメインフレーム上のプログラムを棚卸し、移行対象プログラムのスリム化を実施した。これにより、効率的かつ安全・確実なマイグレーションを実現した。
その後、日立が一定期間にわたって、新環境における24時間のシステム稼働監視を行い、セコム損保とともに業務影響を見極めながら即時対応を実施した。その結果、業務に影響を与えることなく安定稼働を実現し、2021年10月から着手した長期間にわたるマイグレーションプロジェクトを、当初の予定通りに完了した。
今後、日立は、長年の実績に加え、今回のマイグレーションプロジェクトを通じて得られた知見・ノウハウを生かし、金融機関をはじめとしたミッションクリティカルなシステムのマイグレーションプロジェクトに取り組む顧客のマイグレーションやモダナイゼーション、さらにはDX推進を支援していく。
*1: 日立のクラウド Hitachi Cloud
*2: 日立のマイグレーションサービス
背景
近年、多くの国内企業が、既存のメインフレーム上のプログラム肥大化・ブラックボックス化によるシステム開発の高コスト化・長期化、デジタルトランスフォーメーション(DX)化にあたってのデータ活用の制約、ならびにメインフレーム技術者の高齢化などの課題を有している。
セコム損保においても、30年以上にわたりメインフレーム上で、保険契約者の契約情報などを管理する現行の基幹システムを稼働してきたことで、同様の課題があった。そこで、セコム損保は、これらの課題を抜本的に解決し、DXを推進するため、次期システム構想を検討している。そのファーストステップとして、日立はセコム損保の抱える課題解決をめざし、2021年10月にプライベートクラウドへのマイグレーションプロジェクトに着手した。
本プロジェクトの特長
(1) 日立のマイグレーションサービスによる、効率的かつ安全・確実なマイグレーション
今回のマイグレーションでは、プラットフォーム移行支援において長年の実績のある日立のマイグレーションサービスにおける主要な2つの機能を活用し、効率的かつ安全・確実なマイグレーションを実現した。
1つ目は、日立のノウハウを集約した解析技術を用いたプログラム仕様可視化サービス*3 により、従来メインフレームにおいてブラックボックス化されていた、プログラム呼び出し/ジョブフロー/画面遷移情報を分析し、既存のメインフレーム上におけるプログラムの棚卸を行った。これにより、不稼働プログラムの特定などが可能となり、移行対象プログラムの規模を半分程度にスリム化した。
2つ目は、移行性分析によって、セコム損保の基幹システムにおけるプログラムの特性を考慮し、移行方法やツールの精度向上を図り、最適な移行作業を実施した。
(2) 日立のプライベートクラウド環境における安定稼働
上記のマイグレーション後も、一定期間にわたって、日立はシステムエンジニアなどによって、新環境における24時間のシステム稼働監視と、セコム損保とともに業務影響を見極めながら即時対応することで、業務に影響を与えることなく、約半年間にわたり安定稼働を実現した。
セコム損保はこれらの安定稼働により、メインフレーム技術者の確保に関する課題解決のほか、クラウド環境を前提とした最新の技術活用や、システムの拡張性向上などのメリットを享受することが可能となった。これらにより、保険商品開発時の保守性・迅速性やDX化の制約などの課題解決に向けて、現在検討を進めている次期システム構想を、次のステップに進めることができるようになった。
今後の取り組み
日立は、今後もセコム損保の次期システム構想の実現と課題解決に向けて、引き続き支援していく。また、セコム損保のマイグレーションプロジェクトにおける安定稼働の実現で得られた知見・ノウハウと、これまで長年培ってきた経験を、金融機関をはじめとした幅広い業界の顧客に対して、横展開していくとともに、モダナイゼーションやDX推進を通じて、顧客の価値創造に貢献していく。