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近年注目が集まる、“Well-being(ウェルビーイング)”な働き方。従業員が心身共に健康的な状態でいられる働き方を実現するため、企業が今取り組むべきこととは何でしょうか?
そんな企業の悩みを解決するヒントをお届けするため、日立とオカムラはWell-beingな働き方をテーマにしたトークベントを開催。Well-beingを日本に広く啓蒙されている慶應義塾大学 前野教授をお招きし、Well-beingに働くために大切なコミュニケーションのあり方について語り合いました。

Well-beingな働き方をテーマにしたトークベントを開催!

「Well-being(ウェルビーイング)」とは身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを指します。近年、企業における人的資本経営や健康経営が広まる中で、従業員のWell-beingな働き方が注目されています。
日立とオカムラは、Well-beingな働き方に重要な“コミュニケーション”に着目し、日立が提供する無人コミュニケーション店舗「CO-URIBA(コウリバ)」をコミュニケーション活性化のツールの一つとして活用し、従業員のWell-beingを高めるオフィス空間づくりに向けた共創活動*1を2024年9月から推進しています。
*1: 2024年9月30日ニュースリリース

画像: オカムラのオフィスに設置した「CO-URIBA」

オカムラのオフィスに設置した「CO-URIBA」

今回は、Well-beingはそもそも何か?なぜWell-beingな働き方が求められているのか?どのように推進したら良いか?といった企業の悩みを解決するヒントをお届けするため、日本のWell-beingの第一人者である慶應義塾大学 前野隆司教授をお招きしたトークベント『Well-beingな働き方を実現するために必要なコミュニケーションのあり方とは?』を、オカムラのラボオフィス*2『CO-RiZ LABO』にて11月8日に開催しました。
まずは、本イベントのダイジェストムービーをぜひご覧ください。
*2 新しい働き方や環境を提案・実証する働き方改革の実践の場として、複数拠点でそれぞれ異なるコンセプトを設けて展開するオカムラの自社オフィス。

画像: 『Well-beingな働き方を実現するために必要なコミュニケーションのあり方とは?』ダイジェストムービー youtu.be

『Well-beingな働き方を実現するために必要なコミュニケーションのあり方とは?』ダイジェストムービー

youtu.be

幸せな人は生産性が高い!?前野教授が解説、働く環境に大切なWell-beingの要素

前野教授は、慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 教授であり、武蔵野大学で世界初のウェルビーイング学部を開設し、同学部の学部長・教授も務められています。前野教授によると、Well-beingとは「健康(身体の状態)」「幸せ/幸福(心の状態)」「福祉(社会の状態)」の3つの要素が良い状態であることを指します。地域や時代によって、どの要素が強く意識されるかは異なりますが、日本では近年「幸せ/幸福」を意味するケースが多くあるそうです。
では、従業員がWell-beingな働き方、つまり従業員が幸福な状態で働くことにどんなメリットがあるのでしょうか?なんとなく、“良いこと”であることは想像できますが、これにはちゃんと科学的な根拠があると主張しました。
「例えば、幸福度の高い従業員はそうではない従業員と比較して、創造性が3倍、生産性は31%、売上は37%も高いという研究結果*3が出ています。」
*3 Lyubomirsky, King, Diener「The Benefits of Frequent Positive Affect : Does Happiness Lead to Success?」

画像: 慶應義塾大学 前野 隆司教授

慶應義塾大学 前野 隆司教授

さらに、幸福に必要な要素についても解説いただきました。「お金、モノ、社会的地位などを得た際の「地位財」型の幸せは一時的な一方、社会的・身体的・精神的に良好な状態となる「非地位財」型の幸せは長く続きます。」
特に、精神的に良好となるために必要な「幸せの4つの因子」について、「やってみよう因子(自己実現と成長)」「ありがとう因子(つながりと感謝)」「なんとかなる因子(前向きと楽観)」「ありのまま因子(独立と自分らしさ)」が大事だといいます。
「例えば仕事で成果を上げた時、『自分だけで成し遂げた成果だ!』という気持ちの幸せは長く続かず、『部署のみんなのおかげで成し遂げた成果だ!』と感謝することができれば利他の精神「ありがとう因子」が生まれ、幸せが長く続きます。」
そして、これらを踏まえてWell-beingな働き方の実現のためには、従業員のやる気がでて、さらには“優しさ”“感謝のコミュニケーション”が生まれるようなオフィスづくりが重要であるとの見解を語りました。

オカムラのオフィスで実践!Well-beingな働き方を実現するオフィスとは

次に、オカムラのオフィス環境事業本部 フューチャービジネス推進事業部 事業部長 佐藤 直史氏から、東京都渋谷区にあるオカムラのラボオフィス「CO-EN LABO」で実践した、Well-beingなオフィスづくりについてお話いただきました。
駅直結の渋谷スクランブルスクエア44階に位置する「CO-EN LABO」は、WELL Building StandardTM v2(WELL認証v2)*4において、なんと、最高ランクのプラチナランクを取得しているのだそうです。そんな、まさにWell-beingなオフィスを体現する「CO-EN LABO」ですが、オフィスを作った当時は課題もあったと語りました。
「オフィスをつくった2020年、当時は『リビングオフィス』が流行っていて、ソファだらけのオフィスをつくりました。しかし、オフィスの生産性調査では、従業員から『レイアウトと家具に問題があり、至急改善してほしい』、『チームで働きにくい』といった声があがり、革新的・集団的な組織のめざす姿と大きなギャップがありました。」
その後、従業員がパフォーマンスを最大限に発揮しそれぞれの働きがい向上をめざすために大きくリニューアルを行い、今の「CO-EN LABO」ができたのだといいます。
*4 Well-beingに影響を与えるさまざまな機能をパフォーマンスベースで測定・評価・認証するシステム

画像: 渋谷にあるオカムラのラボオフィス「CO-EN LABO」

渋谷にあるオカムラのラボオフィス「CO-EN LABO」

さらに、コミュニケーション活性化に向けた施策では、拠点運営を従業員自らが担う自治会活動を通じて、従業員の家族向けのオフィス見学イベントや、ゲーム大会、アートイベントなどの各種施策を実施していたと語りました。特徴的な取り組みとしては、なんと、オフィスで“いちご栽培”をしているのだそうです!
共同作業はコミュニケーションの活性化につながると考えています。いちごのお世話という共同作業を組織の縦割りを超え1年以上続けていて、“いちごお世話日記”には毎日従業員の笑顔の写真がアップされています。」
そして、オフィスリニューアル後のオフィスの生産性調査では、改装直後にすぐに改善が見られました。一方、入居者の幸せ/不幸せ度の調査では改装直後ではすぐに上がらなかったものの1年後に大きく改善結果が出たと説明しました。
「1年間、『CO-EN LABO』を通じて分かったことは、Well-beingなオフィスづくりには“環境”と“運用”の双方が大事だということ。生産性に寄与するのは環境面、幸福度に寄与するのは運用面。特に、運用は地道な毎日の活動が大事だと思います。」と、自社のオフィスづくりの実践から見えた、Well-beingなオフィスづくりのヒントをお話しいただきました。

画像: オカムラ オフィス環境事業本部 フューチャービジネス推進事業部 事業部長 佐藤 直史氏

オカムラ オフィス環境事業本部 フューチャービジネス推進事業部 事業部長 佐藤 直史氏

感謝を伝えるプラットフォーム!?無人コミュニケーション店舗「CO-URIBA」のWellな活用とは

日立の金融システム営業統括本部 事業企画本部 Lumada事業推進部 部長の西本 友樹からは、日立の無人コミュニケーション店舗「CO-URIBA」を活用したWell-beingな働き方に向けた取り組みを紹介しました。
「CO-URIBA」は、顔認証でチェックインをすると、棚から商品を手に取るだけで、自動で決済が完了する小型の無人店舗サービスです。元々は小売業向けに開発したものでしたが、とあることがきっかけで、日立社内を含め、オフィスのコミュニケーション活性化のプラットフォームとして活用され始めています。
「私自身、実はWell-beingに初めは全く興味がありませんでした(笑)。ある日会社の総務の方からWell-beingの観点で『CO-URIBA』を活用したいと相談があり、社内に設置していた「CO-URIBA」にありがとうクーポンという機能を実装しました。」
ありがとうクーポンとは、従業員同士で感謝の気持ちを「CO-URIBA」のお買い物で使えるクーポンとして贈り合うことができる機能です。他の人にクーポンを贈ることで、贈った人と貰った人の双方がクーポンを使えるようになります。クーポンが届くとメールの通知が来ますが、その時点では誰から届いたのかはわからず、「CO-URIBA」のチェックイン時に、贈り主とメッセージが見られるため、ちょっとしたサプライズにもなる機能です。
「私もある日突然部下からありがとうクーポンが届いて、とても嬉しい気持ちになりました。自分で体感したことで、改めてWell-beingの意識づけが大事だと感じました。」

画像: 日立製作所 金融システム営業統括本部 事業企画本部 Lumada事業推進部 部長 西本 友樹

日立製作所 金融システム営業統括本部 事業企画本部 Lumada事業推進部 部長 西本 友樹

そこで、日立の社員にありがとうクーポンを配布する施策を実施したところ、施策に参加した社員のアンケートでは、「コミュニケーションが活性化された―Yes:95%」「幸福度が上がった―Yes:96%」など、Well-beingな働き方への影響を示唆する良い結果が表れたと話しました。
「『CO-URIBA』がコミュニケーションのファーストステップにつながるとわかりました。これからの時代、従業員がシンプルに喜ぶ施策でコミュニケーションの0から1を生み出す施策が必要ですが、『CO-URIBA』はそのとっかかりになると考えています。」
さらに、「CO-URIBA」から得られる購買情報や行動ログなどのデータを活用することで従業員が喜ぶ新たな施策につなげていく予定だと、今後の意気込みを語りました。

新たなクーポンが決定!?Well-beingな働き方をスマートに実現していくためには

2024年9月からオカムラの一部オフィスでも「CO-URIBA」を活用いただいています。オカムラの佐藤氏からは、ありがとうクーポンを実際に使ってみた感想をお話しいただきました。
「感謝を伝えるのは大事なことだと分かっていても、つい忘れてしまうこともありますよね。ある日、日立の西本さんからもクーポンが届きましたが、まさか会社を越えて感謝の気持ちを贈り合えるとは思いませんでした。離れていると余計に感謝を言う機会が減りますよね。オカムラではあえて離れた拠点に置いて、『CO-URIBA』を活用しています。」
前野教授は、時代の変化に伴いコミュニケーションのあり方も変化する中で、「CO-URIBA」の活用への期待感も語っていただきました。
「昔のように飲み会や社内運動会、社員旅行などがなくなってきた現代、コミュニケーションの機会が減っている中で、今日のお2人のお話を聞いて、テクノロジーの力や場づくりの力を使って、スマートな形で感謝を伝えられるのだと分かりました。」
さらに、Well-beingに働くために、感謝と同じくらい重要なポイントもお話しいただきました。
「感謝と同じくらい効果があるのが“エンカレッジ”。例えば『いつも頑張っているね!』と声をかけることです。“褒める”と“エンカレッジ”は似ていますが、大事なのは“結果を褒める”のではなく“努力をエンカレッジ”することです。」
前野教授の示唆に、佐藤氏からは「CO-URIBA」の新たなクーポンの提案が・・!その名も「応援クーポン」。「CO-URIBA」の今後のアップデートにも乞うご期待です!

画像: トークセッションの様子

トークセッションの様子

登壇者プロフィール

スピーカー

画像1: Well-beingな働き方に必要なこととは?慶應義塾 前野教授×オカムラ×日立のトークベントをレポート!

前野 隆司 氏
慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 教授
武蔵野大学 ウェルビーイング学部 学部長・教授

 

1984年東京工業大学(現東京科学大学)卒業、1986年同大学修士課程修了。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校訪問研究員、ハーバード大学訪問教授等を経て現在慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。武蔵野大学ウェルビーイング学部長兼務。博士(工学)。専門は、システムデザイン・マネジメント学、幸福学、イノベーション教育など。

画像2: Well-beingな働き方に必要なこととは?慶應義塾 前野教授×オカムラ×日立のトークベントをレポート!

西本 友樹
株式会社日立製作所 金融システム営業統括本部
事業企画本部 Lumada事業推進部 部長

 

日立が推進する2兆円ビジネスLumada(先進的な技術を活用しDXを加速するサービス群)の企画推進を担当。業界・業種にとらわれず「Lumadaを使って人類をハッピーにし、お金も稼ぐ」が自身のテーマ。無人コミュニケーション店舗「CO-URIBA」を2022年に企画立案し、現在に至るまで、100社を超える企業と様々な胸躍るユースケースを立案。2024年度の事業化後も、多数の企業とコラボ案件を邁進中。

画像3: Well-beingな働き方に必要なこととは?慶應義塾 前野教授×オカムラ×日立のトークベントをレポート!

佐藤 直史 氏
株式会社オカムラ オフィス環境事業本部 フューチャービジネス推進事業部 事業部長

 

2005年入社以来、フィールドセールスとして数多くの企業の”働き方”や”働く場”の構築に携わる。営業に携わりながら、顧客のニーズに応える形で、新しい製品やサービスの開発も手掛ける。2018年、ワークブース「TELECUBE」を開発し事業化を実現。ワークブース市場と新たな文化を創出。2022年に新設されたオカムラの新規事業部門の責任者として既存事業領域に囚われない新たな価値創出に挑戦している。

モデレーター

画像4: Well-beingな働き方に必要なこととは?慶應義塾 前野教授×オカムラ×日立のトークベントをレポート!

岡本 栄理 氏
株式会社オカムラ 働き方コンサルティング事業部 WORK MILL統括センター コミュニティマネージャー

 

大阪市出身。関西学院大学で社会学を学ぶ。株式会社オカムラでは経理、営業事務、秘書を経て2017年6月よりWORK MILLコミュニティマネージャーに。関西の共創空間・Open Innovation Biotope “bee”において社内外をつなぐ、さまざまな「はたらく」にまつわるイベントの企画・運営を担当。2023年4月よりWORK MILL統括センターに異動。Open Innovation Biotope “Sea”を拠点に、より全国規模の共創を創発するリーダーとして活動中。「自然体でおもしろい」場づくりを大切にしている。楽しい場、おもしろい人が大好き!の、共創をライフワークにしたい人。大阪大学キャリアセンター招へい教員(令和3年-5年)/近畿経済産業局 大阪・関西万博を契機とした価値共創活動促進事業 委員/demo!expoボードメンバー

関連リンク

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