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社会インフラ分野での人手不足の課題に対し、Gemini Enterprise などを活用し現場作業の生産性を向上

日立製作所(以下、日立)は、Google Cloud との戦略的アライアンスに基づき*1、AIを活用した生産性の向上をめざし、ソフトウェアのモダナイゼーションや顧客サービスの強化などに取り組んできた。
今回、OT(制御・運用技術)領域へと活動を拡大し、電力や鉄道、製造ラインなど社会インフラ分野におけるフロントラインワーカーの業務変革の加速に向け、AIエージェントの開発・活用に取り組む。

Geminiは、マルチモーダルAIとして、テキストだけでなく画像や音声、動画といった複数の情報形式を同時に理解し、処理するように設計されていることから、製品や設備といった物理的な情報を正確に扱う必要があるフロントラインワーカーの業務に高い親和性がある。そして、Gemini Enterprise を活用することで、専門的な知識がなくても、ノーコードで特定のタスクを実行するAIエージェント作成が可能になり、現場業務を効率化することができる。
日立では、AIエージェントの開発環境として「Agent Factory」を整備しているが、Google Cloud の技術を活用することで、現場の業務・用途にあわせたAIエージェントを、より簡単・迅速に開発できる環境へと強化していく。
これは、Google Cloud の先進的なAI技術と、日立が長年培ってきた現場の深いドメインナレッジおよびデータガバナンスのノウハウを活用することで実現できる。複雑な現場のプロセスや機密性の高いデータも安全に活用でき、これまでAI活用が難しかったフロントラインワーカーの業務への適用がより容易になる。また、Gemini Enterprise のフロントラインワーカー業務への適用は、非常に先進的な取り組みであり、日立が掲げるLumada 3.0 のビジョンを実現する強力な推進力となる。
今後、日立は、まずは社内実践を徹底する「カスタマーゼロ」の考え方をもとに、日立グループ内で Google Cloud を活用したさまざまなユースケース創出に取り組むとともに、そうしたノウハウを生かし、社員自らがノーコードで開発できるようAIエージェントの民主化も進めていく。特に、日立の米国子会社である GlobalLogic Inc.(以下、GlobalLogic)は Google Cloud のグローバルでの重要なパートナーの一社であり、Gemini Enterprise のローンチパートナーとして、GoogleAI技術の社内外での展開と導入を積極的に進めている。日立は、GlobalLogic の技術・ノウハウを融合しながら価値創出を加速していく。
AIエージェントの民主化により、現場からボトムアップで新しい技術活用のアイデアや業務改善のイノベーションが次々に創発されていく環境を支援する。さらに、そうした成果や現場起点のムーブメントを、フロントラインワーカーの業務改革で同様の課題を有するさまざまな顧客へHMAXソリューションとして提供することで、社会インフラの持続可能性と安全性の向上に貢献していく。

*1: 日立と Google Cloud、生成AIを活用したイノベーション加速、生産性向上をめざし、戦略的アライアンスを締結:2024年5月29日

背景について

近年、社会インフラを支える保守、製造といった現場業務では、人手不足の深刻化や熟練技術者の高齢化による技術継承が喫緊の課題となっている。日立は、2024年5月に発表した Google Cloud との戦略的アライアンスに基づき、日立が長年蓄積してきた社会インフラ事業における深いドメインナレッジや実装力と Google Cloud の世界最高水準のAIやツール群活用により、企業のイノベーション創出と生産性向上を推進している。
日立の執行役副社長 兼 デジタルシステム&サービス統括本部長の 阿部 淳 は、「日立は、AIを単なるツールではなく、人間の能力を拡張するパートナーとして捉えています。Google Cloud との戦略アライアンスにより、従業員の生産性向上やイノベーション加速を着実に進めてこられたことを大変うれしく思っています。今後は、そうした成果をさらに現場業務へと広げ、AIと協働することでフロントラインワーカーが活気に満ち、創造的な業務に集中できる現場を実現することをめざします。このように、今後もデジタルを通じて社会課題を解決し、安全・安心で持続可能な社会、すなわち『ハーモナイズドソサエティ』の実現をめざしてまいります。」と述べた。
また、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 カスタマーエンジニアリング担当 上級執行役員 小池 裕幸 は、「企業が生成AIを活用して複雑なビジネス課題を解決するためには、企業は高度なテクノロジーと、それを組織全体にうまく導入するための技術に関する専門知識が必要となります。Google Cloud は日立との戦略的アライアンスを通じて、お客さまが生成AIプロジェクトの各段階を最適に構築、実装、管理するために必要な技術とリソースを提供します。」と述べている。

具体的なユースケースについて

現在、第一弾の適用先として、電力や産業分野の保守事業を担う株式会社日立パワーソリューションズ(以下、日立パワーソリューションズ)にて、技術検証を開始している。例えば、受変電設備の配電盤内の主機器である真空遮断器(Vacuum Circuit Breaker, VCB)では、複数の保守員で点検作業を行っているため、ボルトの取付け方向の誤りやコンデンサの電極配線接続ミス、放電クリップの取外し漏れといった人的ミスの発生の懸念がある。そのため、保守員のトレーニングセンターにおいて、従来は紙のチェックリストで対応していた原状復帰の確認作業について、Gemini Enterprise を活用したAIエージェントの適用可能性について検証を開始した。
具体的には、保守作業の前後で撮影した画像を比較し、原状復帰の合否判定が可能かを試行している。保守員はAIエージェントに画像を読み込ませるだけで、設備・機器に問題がないかを簡単にアラート情報として受け取れることが確認できた。これにより現在は、年間数千台の設備に対して複数の保守員で点検を実施し、最終確認に熟練の検査員を要している業務に、AIエージェントを適用することで、見落としなどを防ぐためのダブルチェックの精度を高め、点検作業のさらなる品質向上と効率化をめざす。
今回の検証用AIエージェントは、必ずチェックしないといけない箇所やポイント、過去の確認作業で故障原因になった事象や注意点などを自然言語で打ち込み(プロンプトし)、正しい確認作業後の画像、誤りのある画像を何点か読み込ませることで設計されている。スタート時点ではAIの専門家の支援が必要でも、そこからの調整や試行は現場担当者でも挑戦できるレベルの容易な仕様になっており、このハードルの低さがAIエージェントの民主化には必要と日立は考えている。
今後は、画像だけでなく、動画データも活用し、作業手順が正しく守られているかをリアルタイムにチェックし、手順から逸脱した場合にはタイムリーに危険性を指摘するAIエージェントなども検討していく予定である。また、映像から報告書を自動生成することにも挑戦し、現場の技術やナレッジの継承、さらに作業負荷の軽減をめざしていく。

画像: AIエージェント活用 作業プロセスイメージ

AIエージェント活用 作業プロセスイメージ

画像: 画像比較による原状復帰漏れの防止のイメージ (左:作業前の正しい状態、右:作業後のNG例)

画像比較による原状復帰漏れの防止のイメージ (左:作業前の正しい状態、右:作業後のNG例)

商標について

Google Cloud、Gemini および Gemini Enterprise は、Google LLC の商標です。

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