効果検証による、転記および後続業務の作業時間を3分の1に短縮した結果を踏まえ、実業務に適用
百五銀行と日立製作所(以下、日立)は、生成AIとAIエージェントを活用し、銀行における本人確認書類や非定型帳票をシステムに入力する転記業務および、その整合性判断などの後続業務について、人手依存解消に向けた実業務の取り組み(以下、本取り組み)を2026年度から順次開始する。
これまで住宅ローンの事前審査などでは、行員が物件資料や図面といったフォーマットの異なる書類から、手作業でシステムに入力し、かつ申込内容との整合性確認を行っていた。本取り組みでは、この一連のプロセスをAIで自動化・自律化することで、行員はAIの処理結果に対する最終確認や判断に専念し、大半の人財リソースの、より高付加価値な業務への集約をめざす。
2025年8月から2026年2月まで、住宅ローン業務を対象に効果検証を実施した結果、1件あたりの作業時間を約20分から7分以下へ、約3分の1に短縮できることを確認した。また、AIによるアウトプットも一定した品質であることが認められたため、住宅ローンの事前審査などを対象に、百五銀行における実業務に順次適用する。
今後、このように行員とAIが適切に役割分担することで、顧客への提案活動など高付加価値業務へ人財リソースを集約するとともに、アウトプットの均一化を通じて、百五銀行における収益力強化とサービス品質向上を実現する。
また、日立は、本取り組みで活用する生成AIとAIエージェントを、2026年度中に日立の「Branch in Mobile サービス*1」に機能追加し、さまざまな金融機関へ展開することで、人手依存の解消などの業務改革を支援していく。
*1: スマートフォンやタブレットといったモバイル端末を起点に、インターネットバンキングやオープンAPIをはじめとした「ネットサービス」と店舗やATMなどによる「リアルサービス」をシームレスにつなぎ、金融機関の各サービスにおける顧客経験価値の向上を支援する、日立のソリューション。https://www.hitachi.co.jp/products/it/finance/solutions/application/channel/branch_in_mobile/index.html
背景
金融機関においては、DXによる業務効率化の一環として、顧客や外部業者など、行外から提出される書類を行内システムに行員が手入力する、転記業務が多く残っている。例えば、住宅ローン業務では、定型帳票については、AIOCR*2 などの活用でシステム入力の自動化が進む一方、物件資料や図面といったフォーマットの異なる非定型帳票は、依然として人手による転記・確認作業に依存している。これらによる業務負荷の増大や、申込段階から審査回答までに時間を要することに加え、人手では細かい確認や問題点の発見が難しいことなどが課題となっている。
こうした中、百五銀行では、住宅ローン増加額で7年連続全国地域金融機関において第1位を達成するとともに、今後さらに業務プロセスを最適化することで、人財リソースを高付加価値業務に集約し、収益力強化とともに、サービス品質向上をめざしている。
百五銀行と日立は、これまでも銀行業務全体のDXを加速する取り組みとして、日立が提供するネットとリアルのチャネルをシームレスにつなぐ「Branch in Mobile サービス」を百五銀行が導入し*3、非対面取引を促進するとともに、対面取引についてもペーパーレス化などを進めている。今回、住宅ローン業務を起点としたさらなる業務改革として、行員とAIの最適な役割分担の実現に向けて、生成AIとAIエージェントを活用した新たな取り組みに着手した。
*2: OCR (Optical Character Recognition/光学文字認識) に、AI (人工知能) 技術を融合させ、AIによる学習で手書きや複雑なレイアウトも高精度に読み取れる文字認識技術
*3: 日立ニュースリリース:金融機関の非対面・非来店取引を促進する「Branch in Mobile」をクラウドサービスとして提供開始 (2025年3月24日) https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2025/03/0324a.html
本取り組みの概要
本取り組みでは、百五銀行と日立が、生成AIとAIエージェントを活用した転記業務および後続業務の自動化・自律化を推進する。これらにより、人手依存の解消とともに、適切なポイントに行員が確認や判断のため介在することで、業務プロセス全体の品質を確保し、行員とAIの最適な役割分担の実現をめざす。
(1) 転記業務に生成AIを活用し、非定型書類のデータ登録を自動化
フォーマットが定められていない非定型書類については、生成AIを活用することで必要な情報を抽出・データ化し、行内システムへの登録までを一気通貫で自動化する。例えば、住宅ローン業務においては、事前審査の段階で、物件資料や図面などの非定型書類が顧客から提出される際、行員が目視確認し、手入力でのシステム登録が行われていた。これらは、行員の労力を要するだけでなく、入力すべき情報を見つけるにあたり、行員のスキルにも依存するため、作業時間や入力内容にばらつきが発生する要因にもなっていた。こうした課題解決に、生成AIを活用することで、行員の役割はシステムの登録結果を確認するのみとなり、一連の人手依存を大幅に解消できる。
(2) 後続業務にAIエージェントを活用し、データ登録後の整合性・妥当性確認を自律化
行内システムへのデータ登録後の後続業務においては、AIエージェントが関連情報との整合性や妥当性を分析の上、その後の本審査のプロセスでの潜在リスクを判定した上で、審査担当の行員に提示し、判断を委ねる。特に住宅ローン業務では、後続業務も転記業務と同様に、従来は人手で行っていたことで労力と時間を要し、かつ担当者のスキルにより分析・判定結果にも、ばらつきが発生していた。AIエージェントの活用により、申込内容との照合や齟齬の有無の判定が自律的に提示されることで、行員はその内容を参照の上、最終判断に専念することが可能となる。これらにより、後続業務においても、業務負荷の削減ともに、転記業務段階からのアウトプットの均一化がなされることで、業務品質の向上を図る。
今後の展開
今後、百五銀行と日立は、本取り組みを起点に住宅ローン業務以外にも、生成AIとAIエージェントを活用し、幅広い業務で行員とAIの最適な役割分担を推進していく。これにより、創出された人財リソースを顧客へのコンサルティング強化などにシフトすることで、百五銀行の収益力強化と利用者へのサービス品質向上を図るとともに、地域課題の解決および社会価値の創造を加速する。
また日立は、こうした変革を支援するAI技術を2026年度中に「Branch in Mobile サービス」に機能追加することで、他の金融機関への展開を予定している。さらに、将来的な業務改革に向けて、「金融機関向け融資DX推進サービス*4」とのシームレスな連携を行うことで、銀行業務における自動化・自律化をより推進する。
これらを実現することで、社会インフラを革新する次世代ソリューション群「HMAX by Hitachi」の1つとして、HMAX Finance*5 を金融機関向けに提供し、日立が長年培ってきたドメインナレッジとAIの融合による人手依存の解消などの業務改革とともに、人財リソースの最適化など、新たな価値創造に取り組んでいく。
*4: 融資事務において、金融機関・取引先・顧客などのあらゆるステークホルダー間の手続きのデジタル完結化を実現するSaaSサービス。https://www.hitachi.co.jp/products/it/finance/solutions/application/common/Finance-Econtract/index.html
*5: モビリティ、エネルギー、産業分野に続き、新たに金融分野に HMAX Finance として拡大した。https://www.hitachi.co.jp/products/it/lumada/hmax/index.html
商標注記
記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。



